
登場人物:
・マナブ: IT業界ビジネスマン。最近、歴史に興味を持つようになり、ただいま勉強中。
・歴史先生:歴史に詳しい街歩きの達人。マナブと一緒に旅をする。
大内宿へは会津鉄道「お座トロ列車」で行こう
江戸時代にタイムスリップしたみたい。「大内宿」って、いったい何なのか?
大内宿へは会津鉄道「お座トロ列車」で行こう

会津鉄道「お座トロ列車」

マナブ:会津若松駅に来ています。今日はここから「大内宿」へ行くそうです。
歴史先生:大内宿へは車で行くこともできますが、せっかくなので旅情たっぷりの会津鉄道「お座トロ列車」で出かけましょう。
会津鉄道「お座トロ列車」
座席指定券400円(小人200円)、別途乗車券が必要。(会津若松駅から湯野上温泉駅までの乗車券は1,050円)
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
https://aizutetsudo.jp/travel/ozatoroaki/
歴史先生:この列車は主に土日運行ですが、夏休み、ゴールデンウイーク、10月後半などは平日も運行します。運行日についてはWebサイトでよく確認してください。1日2便のみの運行です。席が限られていますので事前予約をお勧めします。

トロッコ席
マナブ:9:50am、列車は出発。私たちはトロッコ席を取りました。窓が大きくて開放的ですが、夏の間は窓がないんですよね?
歴史先生:はい。6~9月の間はガラスを取り外して、風を受けながら走ります。
マナブ:それも気持ちよさそうですね。
歴史先生:今日は10月の平日ということで席が空いていますが、トロッコ席は特に人気があるので早めの予約が望ましいです。

お座敷席
マナブ:こちらはお座敷席。掘りごたつ風の席になっているので、家族連れなどには良さそうです。

向羽黒山城跡
歴史先生:右側に岩がごつごつした山が見えています。これ、覚えていますか?
マナブ:あ、たしか鶴ヶ城の天守閣から見えていた山ですよね? 向羽黒山城、って言うんでしたっけ?
歴史先生:はい、そうです。会津盆地の南側を守る、壮大な規模の山城です。

トンネルの中には仕掛けが
歴史先生:向羽黒山城を過ぎるとだんだん山間に入っていきます。
マナブ:トンネルに入ります。
歴史先生:トンネルの中、左右の窓の外を見ておいてください。面白い仕掛けがありますよ。
マナブ:あ、これは楽しい。(皆さんは実際に体験してみ
てくださいね)

列車は絶景ポイントで停車してくれる
マナブ:険しい谷合いを列車は走っていきますので、次々に絶景が現れます。そのたびに止まってくれるのがうれしいですね。

ねこ駅長のいる芦ノ牧温泉駅
歴史先生:途中の芦ノ牧温泉駅はねこ駅長で有名です。ここでも数分止まってくれます。
マナブ:目的地に早く着くというよりも、旅の途中をいろいろと楽しませてくれますね。

湯野上温泉駅

駅の隣では足湯を楽しめる
マナブ:出発からちょうど1時間、10:50amに目的地の湯野上温泉駅に着きました。この駅、素敵ですね。
歴史先生:珍しい茅葺き屋根の駅舎です。駅の中には囲炉裏があって、となりには足湯もあります。

夫婦岩
歴史先生:駅のすぐそばを阿賀川が流れていて、美しい渓谷になっています。駅から1分ほど歩くと対岸に「夫婦岩」が見えます。
マナブ:あ、あれですね。結構大きな岩です。時間をかけずに見に来れるので、乗り換えの時にでもぜひ見てほしいですね。

湯野上温泉駅から大内宿へ行くバス「猿游号」
マナブ:私たちは駅のすぐ隣から出ているバス「猿游号(さるゆうごう)」で大内宿へ向かいます。
歴史先生:こちらも席が限られているので予約がお勧めです。以下のWebサイトからどうぞ。
「猿游号」のページ
http://london-taxi.jp/busroute.html#saruyu_anchor
江戸時代にタイムスリップしたみたい。「大内宿」って、いったい何なのか?

大内宿の入口に広がる田園風景

マナブ:深い谷を渓谷沿いに走ること20分。急に視界が開けた場所に出てきたと思ったら、そこが終点、大内宿でした。
歴史先生:では宿場町の中へと歩いていきましょう。

大内宿の街並み
マナブ:うわぁー、これはすごい。まるで江戸時代にタイムスリップしたみたい。
歴史先生:まさにそうですね。これらの建物は江戸時代のもの。

大内宿の街並み
マナブ:映画のセットとか、江戸時代をテーマにしたテーマパーク、のような感じもします。
歴史先生:いい表現ですね。なぜその感じがすると思いますか?
マナブ:えーっとですね、まずはこんな山の中に突然あるのが不自然。現代のものが映り込まないようにわざと山の中に作った映画のセットみたい。
歴史先生:なるほど。

茅葺き屋根の民家が整然と並ぶ
マナブ:ここで2つ大きな疑問が浮かびます。まず1つ目。なんでこんな山の中に宿場町があるのか? そして2つ目は何で昔の姿のままで残っているのか?
歴史先生:その2つの疑問にお答えしましょう。大内宿を貫いている街道ですが、これは会津若松と日光を結ぶ下野街道(会津西街道)です。大内宿は江戸時代の初期、1640年ごろに街道の宿場町として整備され、その頃に街道沿いの建物が一気に建てられました。
マナブ:ではこれらはその時の建物。
歴史先生:ではなくて、1711年に大火でほとんどを焼失してしまい、その後再建された建物群が今も残っているんです。
マナブ:でも300年以上の前の建物群なんですね。
歴史先生:はい。これらは半農半宿、すなわち農業をする傍ら宿場町としての機能も維持していました。
マナブ:街道は賑わっていたんでしょうか?
歴史先生:会津藩初代藩主・保科正之、第二代・保科正経が参勤交代の時に立ち寄ったという記録があります。その時はお供の数が600人もいたそうで、たいそうな賑わいだったに違いありません。
マナブ:なぜここが宿場町になったのかはわかりました。ではなぜ、当時の姿で残っているんでしょう?
歴史先生:下野街道(会津西街道)ですが、明治になって鉄道、自動車の交通が主流になると、一気に廃れてしまいます。そして人々の記憶からも忘れ去られていった。そのため宿場町は放棄され、そのままの姿で残ったんです。
マナブ:そうか、普通は街道が国道とかになって、舗装されて車が通るようになって、道幅も拡充されたりして、宿場町は壊されてしまうんですよね。でもそれらが一切なかった。
歴史先生:そうですね。そういった偶然が重なった、貴重な遺産と言えるでしょう。

大内宿本陣跡
大内宿本陣跡(地図 ❶)
入館料250円(中学生以下、団体割引あり)
9:00~16:30、無休
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
https://www.town.shimogo.fukushima.jp/childcare/bunkazai/639.html
マナブ:ひときわ大きな建物があります。これが本陣ですね。
歴史先生:はい。ただしこれは1984年(昭和59年)に復元されたもの。元の姿は資料が残っておらず、よくわかっていません。

本陣の内部
マナブ:本陣の内部には囲炉裏があって、大内宿の資料や民具などが展示されていました。

お土産屋さんを営む民家

会津名産の「赤べこ」や「起き上がり小法師」が売られている
マナブ:ここも修学旅行生が多いですね。
歴史先生:はい。入口には大きな駐車場があって、バスもたくさん来ています。
マナブ:それぞれの茅葺きの民家はお土産屋さんだったり、食堂だったり。


大内宿で有名な「ねぎそば」(写真は「ねぎうどん」)
歴史先生:食堂と言えば、ここ大内宿の名物は「ねぎそば」。
マナブ:ネギがたくさん入っている?
歴史先生:いいえ、ネギで食べるんです。
マナブ:ん? どういうこと?
歴史先生:そばが出てくると、お箸がなくて、1本ネギを渡されます。それで麺をすくいながら、薬味としてネギもかじるという食べ方です。
マナブ:なんだか楽しそう。


「みなとや」では会津名物の「しんごろう」を囲炉裏で焼いてくれる
歴史先生:「みなとや」さんでは「しんごろう」も焼いてくれます。
マナブ:七日町の満田屋さんでその名前を聞きました。たしかお米をつぶして・・・。
歴史先生:お米を半つきにして串に刺し、じゅうねん味噌を塗って囲炉裏で焼きます。
マナブ:それもおいしそうだなぁ。

坂の突き当りにある浅沼食堂
マナブ:さて、坂の突き当りまで登ってきました。
歴史先生:ここから左に折れると「見晴台(地図 ❷)」に登る道があります。


見晴台へ一気に上る急な石段
マナブ:これですか。
歴史先生:この石段を上ると見晴台まで一気に上れますが、かなり急です。

お寺を経由していく楽な道
歴史先生:左側を進むとお寺に登る比較的楽な道があります。
マナブ:いわゆる男坂、女坂、みたいな感じですね。今日はこの急な石段を登っていきませんか。
歴史先生:では、そうしましょう。

見晴台からの眺め
マナブ:うわぁー、これはすごい。上まで来てよかった。
歴史先生:ここから見ると、大内宿のすばらしさがまたよく実感できますよね。

大内宿の茅葺き屋根がよく見える
マナブ:いやー、ここは時間を忘れて佇んでしまいます。いつまでも見ていられる景色ですね。
歴史先生:大内宿、どうでした?
マナブ:ここはまさに唯一無二、の宿場町ではないでしょうか。江戸時代がそのままタイムカプセルのように残っている、奇跡の場所ですね。人気の観光地になっているのも頷(うなず)けます。
