登場人物:
・マナブ: IT業界ビジネスマン。最近、歴史に興味を持つようになり、ただいま勉強中。
・歴史先生:歴史に詳しい街歩きの達人。マナブと一緒に旅をする。
各社の軍艦島ツアー。どこを選んだらいいの?
ツアー当日。えっ、まさかの欠航?
翌日は波穏やか。軍艦島デジタルミュージアムに集合、ここで予習。
左右に世界遺産が次々に現れる。おススメは右側の席。
海に沈んだかつての軍艦島? 横島の悲劇的結末
高島、そして中ノ島。炭鉱の島が続く
軍艦島が本物の軍艦のようにみえる角度があった
軍艦島へ上陸:世界遺産になっているのは実はとても意外なものだった
各社の軍艦島ツアー。どこを選んだらいいの?

軍艦島(端島)
マナブ:軍艦島はツアーでないと行けません。だからしっかりと調べて事前手配をしました。
歴史先生:どのように手配したんですか?
マナブ:ツアー会社は4社あります。
やまさ海運
軍艦島コンシェルジュ
https://www.gunkanjima-concierge.com/
シーマン商会
https://www.gunkanjima-tour.jp/
軍艦島クルーズ
https://www.gunkanjima-cruise.jp/
そして以下の条件で比べました。
(1)船酔いしたくないので、船は大きいほうがいい。できれば新しい船がいい。
→ やまさ海運、軍艦島コンシェルジュが候補。軍艦島コンシェルジュは船が新 しい。他の2社は比較的小型の船。
(2)寒さ暑さや雨を避けるため室内の席が欲しいが、写真を撮るためにデッキに自由に出られるツアーがいい。
→ 各社Webにある情報では非常に分かりにくいが、軍艦島コンシェルジュのプレミアム以上ならこれが保証されている。
(3)一生に一度のことなので値段は少し張り込んでもOK。
→ 軍艦島コンシェルジュのプレミアム以上はすこし値段が張るがその価値がありそう。
ということで今回は軍艦島コンシェルジュのプレミアムで手配しました。以下、軍艦島コンシェルジュのスタダードとプレミア、そして最上位クラスのスーパープレミアムの比較をまとめておきます。

軍艦島コンシェルジュの新型船「ジュピター」
軍艦島コンシェルジュのクラス別比較
スタンダード | プレミアム | スーパープレミアム | |
乗船まで | 軍艦島デジタルミュージアム見学料金込み。出港時間までに各個人で近くの常盤埠頭に歩いていく。 | 軍艦島デジタルミュージアム見学料金込み。3階「シマノリズム」に集合。軍艦島で育った語り部による説明ののち、スタッフが船まで誘導する。 | |
座席 | 自由席。早い者勝ち。ボトム(船底)室内、1階室内、1階デッキに分かれていて、満席の時は移動できない。寒い日、暑い日や雨天時にずっとデッキにいるのはつらい。 | 指定席。室内の中央3列(レイアウトは2-3-2列)。出港後すぐに2階デッキも使える。デッキへはスーパープレミアムの人の後から案内される。 | 指定席。室内の左右窓側2列(レイアウトは2-3-2列)。出港後すぐに2階デッキも使えるようになる。最初に案内される。 |
ドリンク | なし | 無料のホット、コールドドリンクを自由に飲める。 | |
トイレ | 1か所のみで混雑する | 2か所あり比較的余裕がある | |
軍艦島の周遊時 | 1階デッキで見るが、乗客の多いときは大変混雑する。船は一度周遊したのち、回転して戻ってくるので、左右どちら側でも見えるようにしてくれるが、デッキ内で場所を移動するのは難しい。 | 船首のデッキに出ることが可能。2階デッキからもよく見える。スーパープレミアムの人の後で案内される。 | 船首のデッキに出ることが可能。2階デッキからもよく見える。最初に案内される。 |
軍艦島に上陸するとき / 帰港して下船するとき | 最後に下船となる。混雑時には下りるのに時間がかかる。 | スーパープレミアのすぐ次にスムーズに下船できる。 | 最初にスムーズに下船できる。 |
軍艦島上陸 | ガイドの案内を聞きながら第1、第2、第3見学広場をめぐる。席のクラスによる違いはない。 | ||
上陸後、船に戻るとき | 自由席は再び早い者勝ちになるので、帰路に良い席を取りたければ早く戻った方が良い。 | 指定席なので出港時間ぎりぎりに戻ってもよい。 | |
大人料金(平日) | 5,000円 | 8,000円 | 10,000円 |
大人料金(特定日:土日祝、連休等) | 5,500円 | 9,000円 | 11,000円 |
※価格等は取材時のものです。
マナブ: そして指定席ですが、中央列右端を選びました。地図を見ていると、右側の方が見どころが集中しているように思ったので。
歴史先生:いいですね、正解だと思います。
マナブ:その他、何かアドバイスありますか?
歴史先生:一部のWebにはまだ軍艦島への上陸率の優位性が謳われていますが、今では各社変わりません。というのは長崎市が2021年4月から基準を変更し、軍艦島からは遠く離れた伊王島の波高計が0.5mに達すると上陸禁止、という制限を付けたのです。これによって、以前は90%以上の上陸率であったものが、今では30~40%程度に大幅ダウン。波の高い季節には1か月近くも連続して上陸できない、などといったことが起きているようです。
マナブ:なぜそんなことになったのですか?
歴史先生:それがよくわかりません。観光に力を入れているはずの長崎市が、なぜ観光客を遠ざけるようなことをしたのか。理解に苦しみます。
マナブ:長崎市の偉い人~~~! これを見ていたらぜひ行動を起こしてください! 私たち観光客は軍艦島を楽しみにわざわざ長崎まで行くんですよ~!
歴史先生:ほんと、そうですね。ところで軍艦島コンシェルジュは、「軍艦島デジタルミュージアム」の入館料もセットになっています。このミュージアムはツアーに参加しなくても見ることができますが、入場料1,800円とそこそこ高いので、軍艦島に行くツアー料金に込み、だとお得感があります。
マナブ:ということで、事前手配はバッチリ。上陸できるかが心配だけど、とりあえずツアー当日が楽しみです。
ツアー当日。えっ、まさかの欠航?
マナブ:ツアー当日の朝です。今8時15分。天候は晴れ。風が少し強めなのが心配・・・。おっと、ツアー会社から電話がかかってきました。「本日は高波のためツアーは中止」、とのこと。「えーっ!」と叫びたいところでしたが、幸運なことに明日のツアーに空きがあり、明日に振り替えてもらいました。今回は数日滞在するのでそれができましたが、軍艦島に行くなら旅行の予定に余裕を持たせておきたいですね。
歴史先生:こういうことがあるので、軍艦島ツアーは滞在日程の早めの日に入れておいて、もし欠航の場合は翌日以降で振替できるようにしておくとよいでしょう。今日は無理に船を出しても上陸はできなかったでしょうから、明日は波がおだやかであることを祈りましょう。
翌日は波穏やか。軍艦島デジタルミュージアムに集合、ここで予習。
マナブ:さて、翌日になりました。今日は電話がかかってきません。とても穏やかな晴天に恵まれました。集合場所になっている、大浦天主堂の電停から歩いてすぐの「軍艦島デジタルミュージアム」(地図 ❶)に行きましょう。

軍艦島デジタルミュージアム

軍艦島デジタルミュージアム(地図 ❶)
〒850-0921 長崎県長崎市松が枝町5−6
入館1,800円(高校生以下、長崎県在住者、団体割引あり)
9:00-17:00、不定休
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
https://www.gunkanjima-museum.jp/
マナブ:ツアー参加者は1階で受付を済ませたら、出港時間まで2階、3階の展示室で軍艦島の事前学習ができます。
歴史先生:展示は盛りだくさん。その中で私が面白いと思ったのは、2階の「軍艦島の謎」というコーナー。タッチパネルで 自分自身でコンテンツを見ていくのですが、軍艦島の面白い話がたくさんありました。ぜひ皆さんご自身で見ていただきたい。

軍艦島の謎
マナブ:私は3階の軍艦島30号棟の模型も面白かったです。今の廃墟になっているビルと、昔実際の人が暮らしていた時のビルの様子を比べて、そして1軒だけ壁が取れていて人が住んでいる家の中をのぞいたりできるのも楽しい。

軍艦島30号棟の模型
マナブ:そのほか、軍艦島上空を飛べるVRや、作業員が炭鉱の坑道に入っていく感じがリアルなシアターなど、とても興味深いものでし た。そうそう、炭鉱の坑道に入っていくシアター、これは驚きでした。
歴史先生:というと?
マナブ:石炭って、もっと浅いところから掘り出しているんだと思っていました。でも軍艦島ではまずは作業員はエレベーターに乗って、一気に600mも地下に降りるんですね。それって東京スカイツリーの高さくらい。さらにジェットコースターみたいな斜めのトロッコ。これは前向きだと怖いので後ろ向きに乗る、って言っていましたが、これでさらに数百メートル急な坂を下るとか。
歴史先生:とても深い地下空間で作業していたわけですよね。ところで、地下空間って、暑い・寒い、どちらでしょう?
マナブ:えーっと、マグマに近いから暑い、とか?
歴史先生:正解です。一般に100m下がると3度上昇すると言われています。
マナブ:たしか石炭を掘っていたのは1,000mも下だったとか。
歴史先生:とすると、気温は地上よりも30度も高い。まるで岩盤浴の中で作業しているみたい。
マナブ:うゎー、それは辛い。
歴史先生:しかも崩落や爆発の危険があって、粉塵もすごい。
マナブ:とてつもなく過酷な環境ですね。
歴史先生:命の危険もあって過酷な環境。だからそれだけ高い給与をもらわないといけませんよね。
マナブ:あ、もうすぐ出港、のアナウンスがありました。
歴史先生:船が出るのは軍艦島デジタルミュージアムから歩いて5分ほどの常盤桟橋から。スタンダード(一般の席)の乗客は自分で行って桟橋に集合。そしてプレミアム(並びにスーパープレミアム)の乗客は、ミュージアム3階に集合して軍艦島の模型の前で元島民の方から説明を受け、その後スタッフが先導して桟橋まで連れて行ってくれます。
マナブ:島の模型の前で、元島民の方からお話を聞きました。子供時代に島で遊んだリアルな思い出。三菱のえらい人は眺めのいい風呂付の部屋で一般社員の部屋とはずいぶん格差があったとか、三菱が島内にパチンコ屋を作ったの は福利厚生のためではなく、社員に支払った給与を合法的に取り戻す作戦だったなど、面白い話が盛りだくさん。これだけで聞きに来た価値がありました。

軍艦島の大型模型
マナブ:スタッフの方にエスコートされて、常盤桟橋へ向かいます。あ、船が見えてきました。かっこいいなぁ。あれに乗るんですね。
歴史先生:2017年導入のジュピター、です。他に2023年導入のトリトン、もあります。
マナブ:この会社の船はいずれもすごく新しいですね。

ジュピター号
マナブ:あ、これ。ガンショーくんの顔出しパネル(笑)。
歴史先生:軍艦島を支えている「岩礁」のキャラ、ですね(笑)。

ガンショーくん
マナブ:さぁ、乗りましょう。プレミアム、スーパープレミアムの乗客は2階席、です。1階席のスタンダードは室内とデッキ、いずれも満席になっています。あれだと自由に動けそうにないなぁ。
歴史先生:そうですね。スタンダードは早い者勝ちの自由席になっています。寒い日や雨の日に室内の席が取れず、デッキ席になると少し辛いかも。
マナブ:2階の室内席は指定席で、スーパープレミアムが左右の2列ずつ、真ん中がプレミアムです。デッキ席は自由席になっていて、出港後に開放されるそうです。フリードリンクも備えてあって、ちょっとリッチな気分になりますね。人数のわりにトイレが2か所もあって、安心です。
歴史先生:さぁ、いよいよ出港です。

2階席室内の様子

