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長崎市_2.jpg
登場人物:
・マナブ: IT業界ビジネスマン。最近、歴史に興味を持つようになり、ただいま勉強中。
・歴史先生:歴史に詳しい街歩きの達人。マナブと一緒に旅をする。
こんなに島が密集しているのは日本でここだけ。この地形はどうやってできたの?

九十九島はどこから見るのがベスト? 4つの展望台に行って比べてみた。

九十九島を遊覧船パールクイーンから見よう。


こんなに島が密集しているのは日本でここだけ。この地形はどうやってできたの?


九十九島


マナブ:今日は九十九島(くじゅうくしま)に行きます。佐世保というと、お土産の定番も「九十九島せんぺい」、ですよね。


歴史先生: そうですよね。佐世保市の西岸にたくさんの島が浮かんでいて、北九十九島と南九十九島に分かれています。観光客が多く訪れるのは南九十九島のほうです。


マナブ:実際に99個の島があるんですか?


歴史先生:実際にはもっと多く、208の島があると言われています。「九十九」というのは数えきれない、たくさんの、という意味で使われたのでしょう。


マナブ:島原に行ったとき、島原の九十九島は「つくもじま」と読んで、佐世保は「くじゅうくしま」と読むという話がありましたね。


歴史先生:その際に佐世保の九十九島という名前はどこかにちなんで付けられたという話をしましたが、覚えていますか?


マナブ:えーっと、たしか東北の・・・


歴史先生:はい。秋田県と山形県の県境にある鳥海山が山体崩壊した時に形成された象潟(きさかた)にある九十九島に似ているということで名付けられました。


マナブ:そうでした。ところで象潟ができたのは、山体崩壊の時にできる「流れ山」でしたよね。島原の九十九島も眉山の山体崩壊。ここ佐世保でも山体崩壊があったんですか?


歴史先生:いえ、ここにはそのような火山はありません。


マナブ:ではどうしてここにたくさんの島ができたんでしょう?


歴史先生:ここは「リアス海岸」なんです。


マナブ:学校でリアス「式」海岸、と習ったような記憶がありますが。


歴史先生:そうなんです。私たちの世代は「リアス式海岸」と習いましたね。でも今は「リアス海岸」と教えています。


マナブ:なぜ変わったんでしょう?


歴史先生:「リアス」というのはスペイン語で入り江のこと。英語では Rias Coastと表記します。 日本では長く「リアス式海岸」という訳語が使われてきましたが、「式」という文字をあえて入れる必要がないので、現在では「リアス海岸」という用語が使われています。


海面の上昇によってかつての山の頂上部分が島として水面上に顔を出している


マナブ:そもそも、リアス海岸というのはどうやってできるんですか?


歴史先生:大地が何らかの理由で隆起したとします。そこに雨が降り、川ができます。川になったところは谷になり、海に注ぎます。


マナブ:うんうん。


歴史先生:このあたりでは小さな川と小さな谷がたくさんできました。その後、海面が上昇すると、その谷に海水が入り、複雑な海岸線ができるのです。もっと海面が上昇すると、高いところだけが島として残ります。


マナブ:なるほど。でも待ってください。それだけなら日本のあちこちで起こりそうですが、なぜここでだけ、こんなにたくさんの島ができたんですか?


歴史先生:いい質問です。普通はリアス海岸にならないんです。というのは川から運ばれた土砂が谷を埋め、もっと単純な海岸線になります。


マナブ:ここは違うんですか?


歴史先生:地形図を見ていただくと、この佐世保の西岸には大きな川がありません。そのため海に流れ込む土砂が圧倒的に少なく、川によって削られた複雑な谷の地形がそのまま島になっていったんです。


マナブ:そうか。日本中、ほとんどのところは川がたくさん流れ込んでいますよね。長崎の場合、複雑な半島のようになっていて、大きな川がない。それが理由なんですね。


九十九島はどこから見るのがベスト? 4つの展望台に行って比べてみた。




マナブ:それでは実際に九十九島を見に行きましょう。


歴史先生:今日は4つの展望台を回ります。船越展望所、石岳展望台、展海峰、九十九島観光公園、です。その4つを比べて評価してみましょうね。


マナブ:まず最初に来たのは「船越展望所」です。(地図 ❶)


船越展望所は幹線道路沿いに車を停めてすぐに景色を眺められる


歴史先生:ここは佐世保バーガーミュージアムのすぐそば。幹線道路沿いにあって、最もアクセスのいい展望台です。


マナブ:ここなら車を停めたところが展望台なので、足の悪い方でも大丈夫ですね。


船越展望所からの眺め


マナブ:小さな島がたくさん見えます。


歴史先生:ここは西向きですので、夕日のスポットとしても有名です。駐車場が数台分しかないので、晴れた日の週末の日没時などは停められないこともありそうです。


船越展望所にある伊能忠敬の説明板


マナブ:ここに伊能忠敬の説明板があります。


歴史先生:全国を測量した伊能忠敬ですから、当然ここ九十九島も測量しています。複雑な地形を見てやりがいを感じたのではないでしょうか?


マナブ:「うわー、ここはめんどくさい」と思ったかも?(笑)


歴史先生:ははは、確かにそうかもしれませんね(笑)。


石岳展望台の駐車場


マナブ:次に「石岳展望台」に来ました。(地図 ❷)


歴史先生:九十九島動植物園の入り口脇にある坂道を上るとすぐに着きました。今日は私たちだけのようですが、20~30台分くらいの駐車場があります。ここから山道を2分ほど登ると最初の展望所があります。


マナブ:さっそく行ってみましょう。山道ですが、公園として整備された階段の道なので歩くのは容易です。


石岳展望台への道


歴史先生:さて、最初の展望所です。ここは「ラスト・サムライ」のロケ地として有名なんですよ。


石岳展望台、ラスト・サムライの撮影ポイント


マナブ:おぉ、私の大好きな映画です。そうだ、冒頭のシーンですよね。たくさんの島の向こうに真っ赤な夕日が沈む。


歴史先生:日本の代表的な景色、としてここが選ばれたようです。同じような画角で写真を撮ってみましょう。


マナブ:こんな感じだったかな?


ラスト・サムライで使われた石岳展望台からの眺め


歴史先生:そうそう、こんな感じですよね。いい写真です。


マナブ:映画の冒頭のほんの数秒のために、ここまで大勢のロケ隊が来て撮影したんでしょうね。ハリウッドの資金力はすごいな。


歴史先生:ほんと、そうですね。


マナブ:今日は天気に恵まれましたが、夕日ではないのがすこし残念です。今度は夕日の時にも来たいです。


歴史先生:夕日、素敵でしょうね。ただし日没後にさっきの山道を下るのは少し怖いので、懐中電灯などあるといいかもしれません。


マナブ:さらに上に、円形の展望台がありそうですね。行ってみましょう。


頂上の石岳展望台への道


マナブ:ここが頂上。展望台に上ります。


歴史先生:ここからの眺めも素晴らしい。


石岳頂上の展望台


マナブ:さっきの船越展望所に比べると標高が高いので、上からたくさんの島を見ることができますね。それに山の頂上なので広く見渡せます。


石岳展望台からみた九十九島パールシーリゾート(手前)


歴史先生:あ、「九十九島パールシーリゾート」が見えていますよ。


マナブ:あの遊覧船のところですね。


歴史先生:はい、パールクイーンが停泊しています。あとで乗りに行きましょうね。ここから見ていると、このあたりの入り江が複雑なのがよくわかります。


マナブ:ところで、ここは石岳の山頂ですよね? ということは本来は360度の眺めがあるはずですが、佐世保市内側は木が生い茂っていて何も見えません。


歴史先生:ほんとですね。もしここから佐世保の港が見下ろせたら、これは素晴らしい絶景のはずなのですが。単に整備がされていないのか、米軍基地を見下ろすという意味で他に何らかの理由があるのかわかりませんが、せっかくの山頂なのに惜しい気がします。



マナブ:さて、次の場所です。石岳から車で10分ほど。3か所目の展望台である「展海峰」に来ました。(地図 ❸)


歴史先生:広い駐車場がありますね。ここはさすが有名観光地、です。


マナブ:ここは有名ですよね。早く展望台に行きましょう。わくわくします。


展海峰の展望台へは駐車場から整備された道を登る


展海峰の展望台


歴史先生:さぁ、展望台に上りました。


マナブ:「・・・・・・・」


歴史先生:無口になっちゃいましたね。


マナブ:声にならない感動の景色です。こんなの見たことない。


展海峰の展望台からの眺め


歴史先生:手前の大きい島は松浦島というのですが、とても複雑な形をした大きな島で、九十九島のシンボルとも言われます。


マナブ:あ、船が来ます。


松浦島の深い入り江に入り込む観光船「パールクイーン」


歴史先生:ほんとだ、ちょうど見れてラッキーですね。あれが九十九島パールシーリゾートから出ている観光船「パールクイーン」です。松浦島の深い入り江の奥まで入り込んで、そこで大転回して戻るんですよ。ここ展海峰からそれが見えるなんて、知りませんでした。


マナブ:あぁ、この場所から離れられません。いつまでも眺めていたい。


九十九島観光公園の駐車場



マナブ:さて、展海峰に後ろ髪をひかれながら、すぐそばの「九十九島観光公園」に来ました。(地図 ❹)ここが4か所目の展望台ですね。


歴史先生:はい。ここは2021年(令和3年)にできたばかりの新しい公園です。


広く整備された九十九島観光公園


マナブ:広い駐車場、そこから芝生の広い公園が広がっています。


歴史先生:公園の高いところまで上っていきましょう。


九十九島観光公園にあるモニュメント


マナブ:これはまた素晴らしい・・・。映えスポットでもありますね。


歴史先生:ここで写真を撮る人がたくさんいます。展海峰にも匹敵する素晴らしい眺めですよね。九十九島も素晴らしいのですが、反対側(南側)も見てください。


マナブ:ん? こちら側にも海が見えますね。


九十九島観光公園から見た大島大橋と大島造船所


歴史先生:右の方に大きなつり橋が見えますね。あれが大島大橋。そしてその右側が大島造船所。


九十九島観光公園から見た横瀬浦


歴史先生:そして左側にある丸いかわいい島影は横瀬浦の湾の入口にある八ノ子島です。ここも歴史上興味深いところなので、あとで行ってみましょう。


マナブ:九十九島観光公園は山頂部分にあるので、北の九十九島だけでなく、南の海まで両方見えるんですね。


歴史先生:そうなんです。さて、ということで九十九島を見る展望台4か所を回りました。マナブさんの評価はいかがでしたか?


マナブ:えーっと、私の評価は以下のようになりました。


★:良い

★★:とても良い

★★★:最高!


船越展望所

・眺め:★

・アクセス:★★★


石岳展望台

・眺め:★★

・アクセス:★


展海峰

・眺め:★★★

・アクセス:★★


九十九島観光公園

・眺め:★★

・アクセス:★★


歴史先生:やっぱり展海峰は昔から有名なだけあって、九十九島を見る展望台の王様、と言えるでしょうね。なお、今回は昼間の訪問でしたが、夕日を見るなら船越展望所、石岳展望台の2か所が西向きですので最適だろうと思います。


九十九島を遊覧船パールクイーンから見よう。


九十九島遊覧船「パールクイーン」



マナブ:「九十九島パールシーリゾート」へやってきました。(地図 ❺)


歴史先生:今度は九十九島を船から眺めましょう。


マナブ:広い駐車場があって、レストランや土産店も充実。水族館「海きらら」もある。ここはちょっとしたテーマパークですね。


歴史先生:佐世保市内からも車で10分ほどの近さです。


マナブ:あ、遊覧船の乗り場が見えてきました。次の便の乗船券を買いましょう。


レストランやお土産店も充実の九十九島パールシーリゾート


九十九島パールシーリゾート

〒858-0922 長崎県佐世保市鹿子前町1008

入場無料、無休

営業時間は店舗・施設によって異なる

(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)

https://www.pearlsea.jp/ 


パールクイーン

乗船料 2,200円

出航時間 10:00, 11:00, 12:00, 13:00, 14:00, 15:00 (季節により異なる)

(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)

https://www.99cruising.jp/ 


九十九島遊覧船 パールクイーン


マナブ:さぁ、乗船の時間になりました。早速乗りましょう。


歴史先生:私たちが乗る「パールクイーン」は海の女王をイメージした白い船体の遊覧船です。九十九島の主だったコースを回る50分の船旅です。


マナブ:さっき、展海峰からも見えてましたね。楽しみです。


パールクイーンの遊覧ルート


歴史先生:船内席とデッキがありますが、どうします?


マナブ:やっぱり景色を見たいのでデッキかな?


木を基調としたクラシックな雰囲気のパールクイーン船内席


風が気持ちいいデッキ


歴史先生:私のおすすめはデッキの一段高くなっているところ。この上からの眺めがベストだと思います。


デッキの高くなっているところからは最高の眺めが得られる


マナブ:いいですね。ここは船長になった気分。


歴史先生:船は九十九島の間を縫って航行していきます。船の前後左右、360度に小さな島がたくさん見え、それぞれの島の特長を船内でアナウンスがされています。


パールクイーンから見える島々


パールクイーンは松浦島の入り江の奥へと進んでいく


歴史先生:さぁ、船は松浦島の入り江に入ってきました。


マナブ:小さい島なのにずいぶん深い入り江ですね。


歴史先生:船はどんどん奥へと入っていきます。そしてそろそろ、最深部です。


マナブ:一番奥で、どうやって折り返すんだろう? まさかバックで後退するとか?


歴史先生:さぁ、一番奥です。ここで、船は大回転するんです。


マナブ:おー、こんな大きな船なのに、コンパクトに方向転換するんですね。


秀麗な姿を見せる愛宕山(別名:相浦富士)


歴史先生:九十九島めぐりのクルーズもそろそろ終わりに近づいてきました。


マナブ:前方にきれいな三角の山がありますね。


歴史先生:あれは愛宕山、別名相浦富士と呼ばれています。頂上には愛宕神社が建っています。これは松浦隆信が京都の愛宕神社から勧請したものと言われています。


マナブ:松浦隆信?


歴史先生:はい、戦国時代の平戸の領主です。平戸の発展は松浦隆信あってこそ、と言えます。彼はフランシスコ・ザビエルを鹿児島から迎え入れ、平戸での布教を許可しました。それによってポルトガル船が平戸に来るようになり、平戸は南蛮貿易の中心地として発展します。その話は平戸に行ったときに詳しくしましょうね。


マナブ:はい。


歴史先生:さて、九十九島を巡る旅、いかがでした?


マナブ:まずはこんなにたくさんの島があるのかと、びっくりです。その地形のでき方も聞いて、納得しました。そして4つの展望台巡りをして、最後には遊覧船。このたぐいまれなる地形を満喫できました。ぜひ世界中の人にも見せてあげたい、と思いましたよ。



​歴史好きのための観光ガイド
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