登場人物:
・マナブ: IT業界ビジネスマン。最近、歴史に興味を持つようになり、ただいま勉強中。
・歴史先生:歴史に詳しい街歩きの達人。マナブと一緒に旅をする。
荒涼とした風景が広がる雲仙地獄を歩こう
地獄には夜も行くべし:「地獄のナイトツアー」
雲仙温泉のおススメのホテル
地獄の真っただ中にある大人のための宿:雲仙九州ホテル
源泉温度は105℃! 日本一熱い小浜温泉
こんなに大きいのかと驚く:「千々石(ちぢわ)断層」
荒涼とした風景が広がる雲仙地獄を歩こう

雲仙地獄の中に大型の温泉ホテルが建つ

マナブ:仁田峠(1,100m)から一気に坂を下って、雲仙温泉(670m)に来ました。(地図 ❺)
歴史先生:雲仙温泉は「古湯」、「新湯」という2つの地区に分かれています。古湯は以前から庶民に愛されてきた一般向けの温泉地。新湯は主に外国人向けの高級リゾートとして「西の軽井沢」として発展してきたところです。中でも「雲仙観光ホテル」は雲仙を代表するクラシックホテルで、1935年(昭和10年)創業。クラシックな外観、アンティークなダイニングなど、当時の様子を今に伝えています。詳しい地図を見てください。

マナブ:この地図を見ると「〇〇地獄」というところがたくさんありますね。
歴史先生:はい。これが雲仙温泉の観光の目玉、雲仙地獄です。早速歩いてみましょう。

清七地獄
マナブ:車をホテルに停めて、国道沿いにある「清七地獄」に来ました。
歴史先生:ここが地獄の入口です。雲仙地獄は24時間出入り自由、しかも無料です。
マナブ:それはうれしい。
歴史先生:ところで、映画「沈黙」の冒頭で、キリシタンの信者や宣教師たちが熱い湯をかけられて拷問を受けるシーンがありました。あれはここ雲仙地獄でのキリシタンへの拷問、という恐ろしい史実に基づいて描かれたものです。
マナブ:あのシーンの場所がここなんですね。
歴史先生:そしてこの「清七地獄」ですが、長崎で捕えられた清七さんというキリシタンの人がここで処刑された時、ここから熱い湯が噴出したので、この場所を清七地獄、と呼びます。
マナブ:痛ましい・・・恐ろしい話ですね。
歴史先生:では遊歩道に入っていきましょう。遊歩道の地面を軽く手で触ってみてください。
マナブ:あちちっ!!
歴史先生: ごめんなさい、すごく熱いというのを言い忘れてました。
マナブ:それ、早く言ってよ(怒&笑)。
歴史先生:(笑)ここ、靴を履いているとわかりませんが、地面がすごく熱くなっているんです。

お糸地獄

マナブ:次に来たのが「お糸地獄」。
歴史先生:ご想像の通り、ここはお糸さんが処刑されたところで、処刑されたときに熱い湯が噴出したのでこう 呼ばれています。お糸さんは浮気をして、そのあげく夫を殺してしまったという罪だったそうです。

雲仙地獄ではたくさんの猫が暮らしている
マナブ:このあたり、猫ちゃんたちがたくさんいますよ。
歴史先生:遊歩道の入口付近に比べるとこのあたりは少し温度が下がっていて、地面のあったかさがちょうどいいんでしょうね。ゆで卵を売っているお店があります。

お糸地獄近くには熱湯が噴出している

お糸地獄にある十字架
歴史先生:お糸地獄の山側には十字架も立っていて、ここで厳しい拷問にあった信者や宣教師たちを弔っています。

大叫喚地獄
マナブ:少し歩いたら、激しく湯気を噴出している場所に来ました。「大叫喚」って書かれています。
歴史先生:はい、ここが「大叫喚地獄」。今、もっとも激しく噴気を上げている場所ですね。
マナブ:それにしてもすごいというか、おどろおどろしい名前ですね。

雲仙地獄から見た雲仙九州ホテル
歴史先生:次に国道の反対側の地獄へ行ってみましょう。

旧八万地獄

マナブ:清七地獄とは国道の反対側にある「旧八万地獄」、と書かれた場所に来ました。先ほどの地獄と風景は似ているのですが、あれ、ここは湯気が出ていませんね。
歴史先生:はい、ここは地獄の跡。かつては活発に活動していましたが、今では活動が収まっています。ここのさらに西側には湿原のようになった場所があり、そこがかつての地獄であったと言われています 。すなわち、地獄の活動も西から東へ、徐々に移ってきており、現在では一番東の端にある大叫喚地獄が一番活発になっているんです。
マナブ:地獄も長い年月を経るとやがて活動を終え、湿原になるんですね。火山は生きているっていうのを実感します。

満明寺
満明寺
〒854-0621 長崎県雲仙市小浜町雲仙321
8:00-17:00、無休
拝観無料
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
https://www.nagasaki-tabinet.com/guide/101841
歴史先生:旧八万地獄のとなりにある満明寺に来ました。ここは701年に行基が開山したと伝わる非常に古いお寺。最盛期には修験者がたくさん訪れて大変な賑わいを見せていたそうです。高さ5mの大きな釈迦如来像が本堂に安置されていて必見です。

満明寺の釈迦如来像。高さが5メートルもある。
マナブ:満明寺から国道を反対側に渡ったところに「温泉神社」がありました。「おんせん」ではなく、温泉と書いて「うんぜん」と読むそうです。
歴史先生:そうなんです。「雲仙」というのは後世になってからの当て字で、元々は山自体が「温泉」という名前でした。「雲仙=温泉」、なんですよ。

温泉(うんぜん)神社
地獄には夜も行くべし:「地獄のナイトツアー」

夜の清七地獄付近
マナブ:さて、昼の雲仙地獄も楽しめましたが、今夜はもう1回、夜のツアーで地獄に行くんですよね。
歴史先生:はい、「地獄のナイトツアー」に申し込みをしておきました。ツアーガイドの佐々木雅久さんの携帯に電話(090-4489-4487)で申し込みをすることもできますが、日程や人数など間違いがないよう、メール(guide.u.u@live.com)で申し込むのが一番確実かと思います。基本的に通年いつでもやっていただけますし、1名から催行なので、「訪問した日はツアーがなかった」「人数が揃わなくて中止」なんてことはありません。
マナブ:それはうれしいですね。参加費も600円ととってもリーズナブル。心配は天気だけだったのですが、今夜は大丈夫そうです。
地獄のナイトツアー
20:10に清七地獄集合、所要約60分、雨天中止、1名より催行(最大30名)
大人600円、小学生以下300円
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
https://www.nagasaki-tabinet.com/plan/62512
マナブ:20:10に清七地獄へ行きました。国道沿いにある清七地獄のあたりはライトアップがされていて、湯けむりがきれいです。そこにガイドの佐々木さんが待っていてくれました。シーズンオフだったせいか、なんと私たちだけの貸し切り状態。
歴史先生:うれしい反面、私たちだけのために催行していただくのは申し訳ないというか・・・。
マナブ:でもたくさん質問して、たくさんお話を聞けました。
歴史先生:国道沿いにある清七地獄のところは照明がありますが、一歩中へ進むと真っ暗。ツアーでは懐中電灯が各自に配られます。
マナブ:入ってすぐの雀地獄。ちゅんちゅんと いう、雀の鳴き声のような音がよく聞こえます。昼間の喧騒の中ではこういう小さな音を楽しむことが難しいので、夜の暗闇の中で、音に集中できるのはよかった。
歴史先生:ツアーのハイライトは何といっても大叫喚地獄でしたね。
マナブ:なんで「大叫喚」というのか、夜訪れてみて初めてわかりました。何と表現したらよいのかなぁ、「うわぁー」「ぎゃー」って感じの苦しそうな叫び声が、大地に空いた穴の底から聞こえてくるようでした。
歴史先生:昔の人は、ここが地獄の入口で、中から地獄に落ちた人たちの声が漏れ聞こえてくる、と感じたようですね。
マナブ:ところで佐々木さんは、映画「沈黙」のロケハンのガイドもされたとか。
歴史先生:マーティン・スコセッシ監督も実際にここへ見に来られたようですね。そのときのお話や「へぇー」と驚く映画の裏話なども聞けてとても楽しかった。
マナブ:内容はここには書きませんので、これをお読みの皆さんもぜひ佐々木さんから直接、いろんなお話を聞いてくださいね。
歴史先生:せっかく雲仙温泉に泊まるならナイトツアーは断然お薦め。地獄は昼もいいですが、夜は地獄感がさらにアップ。ぜひ皆さんもこのツアーに参加してほしいです。
<読んでおきたい本>
遠藤周作
沈黙

島原の乱が鎮圧されて間もないころ、キリシタン禁制の厳しい日本に潜入したポルトガル人司祭ロドリゴは、日本人信徒たちに加えられる残忍な拷問と悲惨な殉教のうめき声に接して苦悩し、ついに背教の淵に立たされる……。
神の存在、背教の心理、西洋と日本の思想的断絶など、キリスト信仰の根源的な問題を衝き、〈神の沈黙〉という永遠の主題に切実な問いを投げかける長編。
<見ておきたい映画>
沈黙 ーサイレンスー

遠藤周作の名作「沈黙」をマーティン・スコセッシ監督が映画化。
雲仙温泉のおススメのホテル
地獄の真っただ中にある大人のための宿:雲仙九州ホテル

雲仙九州ホテルのエントランス
雲仙には実に多くの魅力的なホテルが揃う。例えば伝統あるクラシックホテルの「雲仙観光ホテル」、雲仙地獄に近い和モダンな「雲仙宮崎旅館」、星の やグループの新しい「界 雲仙」、そして地獄からは少し離れるが価格がリーズナブルな「雲仙東洋館」や「東園」などがあり、いずれも部屋自慢、温泉自慢を競っている。
今回はその中でも(1)地獄に最も近い(というより地獄の中に建っている)、(2)口コミ評価が極めて高い、という理由から、雲仙観光ホテルと並ぶ伝統と格式のあるホテル、1917年創業の「雲仙九州ホテル」(https://kyushuhtl.co.jp/ )をお薦めする。

雲仙九州ホテル屋上から見た地獄
まずはそのロケーション。ホテルはまさに地獄の中に建っていると言える。ホテルの屋上には無料ラウンジがあり、そこからは地獄が 一望できる。ホテル内にはほかにも無料ラウンジがあり、ゆったりとした時間を過ごせる。2018年に大規模リニューアルし、大人のためのホテルとして生まれ変わった。
大人のためのホテルというだけあって、子供連れにはあまりおススメできない。また、特徴的なのは温泉ホテルでありながら大浴場がないこと。その代わりにすべての部屋に温泉半露天風呂がついており、プライベートに温泉ステイを楽しめる。

一番安いタイプのお部屋でも十分な広さと素敵な和モダンのインテリア

すべてのお部屋についている温泉半露天風呂

硫黄のにおいも感じられる風が心地よいテラス
お部屋はすべて「地獄ビュー」。特に上の階からは地獄を一望できる。地獄を見ながらお風呂に入り、テラスで涼む。ここにはゆったりとした時間が流れている。

創業当時の雰囲気を再現したメインダイニング「1917」
雲仙九州ホテルの創業者は元上海航路のコックで、このホテルも長期滞在の外国人向けとして造られたことから、温泉ホテルとしては珍しく本格的な洋食ディナーが味わえる。新鮮な刺身や島原の野菜などの地元食材に始まり、フレンチやイタリアンが続き、そして長崎牛の赤身のステーキがメイン。〆には日本のごはんに戻るといった、「世界の食紀行」をイメージしたものになっている。

長崎牛(赤身)の炭火焼ステーキ、赤ワインソース

朝食のメイン ハッシュドビーフ
朝食は和食・洋食から選べる。洋食セットではメインのハッシュドビーフが名物。メインダイニングの窓からは清七地獄の湯けむりが見える。夜もライトアップされており、地獄の中でのディナーは思い出に残ることだろう。

メインダイニングからは清七地獄の湯けむりを間近に見ることができる
源泉温度は105℃! 日本一熱い小浜温泉

小浜温泉の中心にある湯畑

マナブ:雲仙の山から西側へ下りたところにある小浜温泉に来ています。
歴史先生:ここは源泉の温度が105℃と、日本一の熱さ。実は雲仙を形成しているマグマだまりが橘湾の底にあり、そこに近い小浜温泉では高温のお湯が出ています。
マナブ:105℃?
歴史先生:はい。水の沸点の100℃をどうして超えているのかは私にはよくわかりませんが・・・。マナブさんは大学は理系でしたよね?
マナブ:えっ、それを言われると(苦笑)。えーっと、たしか沸点が100℃というのは真水のことで、そこに不純物が加わると沸点が上がるはずです・・・。
歴史先生:おぉ、そうなんですか。
マナブ:いや、待ってください・・・。源泉、ということは地下から噴き出しているんですよね。あ、そうだ。不純物というよりも、お湯のある地下では気圧がかかっていて、その気圧によって沸点が100℃を大きく超えているんだと思います。
歴史先生:その説のほうが説得力がありますね。
マナブ:ちょっと自信ないけど、たぶんそうでしょう。
歴史先生:そのお湯の熱さを感じられる場所が海岸にあります。湯けむりがもうもうと立つ、「湯畑」です。これが小浜温泉のシンボル、と言えるでしょう。
マナブ:湯畑の横には大きな駐車場もあるので、車で行っても安心ですね。

小浜温泉の観光案内図

日本一の105mの長さがある足湯「ふっと105」
歴史先生:湯畑からすぐにあるのは源泉温度105℃にちなんだ「ふっと105」。長さが105mもある足湯で、誰でも入れます。
マナブ:海を見ながらの足湯。いいですね。
歴史先生:西向きですので、夕方は橘湾に沈む夕日を見ながらの足湯、というのもいいですよ。

湯畑のとなりにある無料の蒸し窯
マナブ:これは何でしょう?
歴史先生:これは温泉を生かした蒸し窯、です。食材を自分で持ち込んで、高温の湯気で調理ができるんです。無料で使えるのもうれしいですね。

小浜温泉のホテル群
マナブ:海岸沿いには大きなホテルが並んでいますね。
歴史先生:はい。小浜温泉には大小さまざまのたくさんのホテルや旅館があります。どこもお風呂自慢。ぜひゆっくりと滞在したい場所ですね。
こんなに大きいのかと驚く:「千々石(ちぢわ)断層」


マナブ:小浜温泉から長崎・諫早方面に戻ってきています。
歴史先生:前方に長ーい断崖が見えてきましたね。あれが千々石(ちぢわ)断層です。
マナブ:おー、島原半島の成り立ちの時に説明があった、大断層ですね。
歴史先生:はい。長さ14㎞、最大落差450m。
マナブ:そして今でも年に1.5ミリ沈んでいる・・・
歴史先生:そうです、そうです。
マナブ:近くで見ると、その大きさにビックリしますね。

オーガニック直売所 タネト
マナブ:国道を走っていたら、左に広い駐車場付きのオシャレなエリアが。
歴史先生:寄っていきましょう。ここは「オーガニック直売所 タネト」というところです。(地図 ❶)
オーガニック直売所 タネト(地図 ❶)
〒854-0403 長崎県雲仙市千々石町丙2138−1
10:00-16:00、水曜休
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
https://www.instagram.com/taneto_unzen/
マナブ:店の外観も中もナチュラルな感じですね。地元の無農薬野菜が並んでいます。それからプラスチックフリーな商品とか、無添加の商品とか。
歴史先生:マナブさんはオーガニック派、ですものね。インターンも受け入れていて、タネトの取組みに賛同する若い人たちが全国から応募してきています。
マナブ:今日もインターンの人が接客してくれましたね。
歴史先生:全国で講演会をやったり、俳優の山田孝之さんを招いてのトークとか、イベントもたくさんやっています。ランチをやっている日もあるようなので、インスタなどでチェックしてから行きたいです。
マナブ:いいお店を見つけました。地元のオーガニック商品、お土産に買っていきます。

和泉屋カステラランド入口

和泉屋カステラランド(地図 ❷)
〒854-0302 長崎県雲仙市愛野町乙愛津5864
8:30-17:30、無休
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
https://www.n-izumiya.com/shop/castella-land.html
マナブ:国道は断層の崖を斜めにぐんぐん登っていきます。
歴史先生:かなりの崖、ですね。
マナブ:登りきったところに何かありますね。
歴史先生:はい、カステラの大手の1社である和泉屋の店舗兼工場があるんです。寄っていきましょう。

和泉屋カステラランドの工場見学通路
歴史先生:「カステラランド」という建物です。広い店舗にはたくさんの和泉屋の商品が並び、眺めのいいレストランもあります。そして予約なしで気軽に工場見学もできるんですよ。
マナブ:通路から見るだけなので、自分のペースで気軽に見学できますね。

和泉屋カステラランドの絶景トイレ
歴史先生:そしてここのトイレがまた有名。千々石断層の上から橘湾を見下ろす展望台のような場所にトイレがあるんです。(女性トイレからも見えるそうです。)
マナブ:おー、これは絶景トイレ、ですね。

