造幣局のさいたま博物館へ寄り道しよう
氷川神社の参道は日本一長い?
二千数百年の歴史を持つ古社:氷川神社
緑豊かな大宮公園と見ごたえ十分の県立博物館
圧巻のスケール。鉄道好きの聖地:鉄道博物館
造幣局のさいたま博物館へ寄り道しよう

さいたま新都心駅

マナブ:今日はさいたま市に来ています。これから氷川神社に行く、ということで、ここ「さいたま新都心」という駅で下車しました。
歴史先生:ここは2000年にできた新しい駅。東京都心部の機能を少しでも分散させようと開発された地区なんです。さいたまスーパーアリーナもここにありますから、イベントなどで来たことがあるよ、という方も多いでしょう。
マナブ:はい、私も一度コンサートでここに来たことがあります。で、氷川神社もここにあるんですか?
歴史先生:いえ、ちょっと理由あって、ここで下車しました。というのは、氷川神社の最寄り駅は大宮駅。でも、氷川神社の参道は、ここさいたま新都心駅のあたりから始まるんです。その参道を歩いていただきたいと思いまして。
マナブ:いいですね。せっかくなら参道をすべて歩いてからお参りしましょう。
歴史先生:ついでといってはなんですが、この駅のそばに造幣局があって、博物館もありますので寄って行きませんか?
マナブ:行きましょう、行きましょう。

さいたまスーパーアリーナ

さいたま新都心駅前にはコクーンシティという巨大なショッピングモールが続く

造幣局
造幣さいたま博物館 (地図 ❶)
〒330-0835 埼玉県さいたま市大宮区北袋町一丁目190番地22
入場無料
9:00~16:30(最終入場16:00)、水曜休
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
https://www.mint.go.jp/enjoy/plant/plant-saitama/plant_visit_museum_saitama.html
マナブ:駅からコクーンシティというショッピングモールを抜けて、5分ほど歩いたところに造幣局があります。
歴史先生:さっそく中へ入ってみましょう。

貨幣の製造方法の展示

貴重な歴史的古銭
マナブ:博物館には貨幣の製造方法といった技術的な資料や、古銭のような貨幣の歴史に関する資料がたくさん展示されています。
歴史先生:通常の貨幣だけでなく、勲章などもここで製造されているんですね。
マナブ:展示を見終えると、渡り廊下で別棟に行きます。こちらは工場見学、となっていますね。
歴史先生:はい。工場の方は平日のみ見学ができます。工場内は撮影禁止。ガラス越しにさまざまな工程を見ることができますよ。
氷川神社の参道は日本一長い?

氷川神社参道入口(一の鳥居)

マナブ:さいたま新都心駅にほど近いところにある、参道入口に来ました。(地図 ❷)
歴史先生:地図を見てください。ここから北へ向かって真っすぐに参道が伸びています。
マナブ:長そうですね。
歴史先生:ここにある石碑を見てください。「武蔵国一宮」と書かれていますが、横 にここから「これより宮まで十八町(丁)」と書かれています。1丁というのはおよそ109mです。

氷川神社参道入口脇の石碑
マナブ:18丁、ということは・・・
歴史先生:約2㎞くらいですね。
マナブ:おー、けっこうありますね。
歴史先生:このような大都市の中で、直線の参道が2㎞もあるのはとても珍しく、おそらく日本で最長だと言われています。

参道をどんどん進む
マナブ:両側の並木が気持ちいいですね。
歴史先生:江戸時代までは松の木が植えられていたようですが、明治になってから杉並木に変わっています。
マナブ:ん? でも今は、杉じゃない。
歴史先生:理由ははっきりしないのですが、台風で倒れた、戦時中燃料として伐採された、車の排気ガスで枯れた、などといった原因が言われています。今はケヤキ、スダジイなどの落葉広葉樹が植えられています。

道端には1丁ごとに石碑が置かれている
マナブ:けっこう歩いてきましたよ。今、どれくらいかなぁ。
歴史先生:道端を注意して見ていてください。ほら、そこにもある。1丁ごとに石碑が置かれているんです。何て書いてありますか?
マナブ:6丁、とあります。
歴史先生:ということは18丁の1/3来た、ということですね。
マ ナブ:まだ1/3でしたか。

参道交番前の交差点。ここを左に行くと大宮駅。

十二丁の石碑
マナブ:「十二丁」の石碑が出てきました。2/3来ましたね。
歴史先生:ここを過ぎれば二の鳥居はもうすぐです。

二の鳥居
マナブ:二の鳥居に来ました。
歴史先生:ここでまたちょっと寄り道しませんか? 二の鳥居から右(東)へ路地を入ったところに、さいたま市立博物館があります。
マナブ:行ってみましょう。

さいたま市立博物館

展示室内部の様子
さいたま市立博物館 (地図 ❸)
〒330-0803 埼玉県さいたま市大宮区高鼻町2丁目1−2
入場無料
9:00~16:30、月曜休
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
https://www.city.saitama.lg.jp/004/005/004/005/008/index.html

縄文海進と貝塚の分布
マナブ:ここさいたま市には、貝塚がたくさん見つかってるんですね。貝塚というと海の近くのはずなのに、不思議な感じがします。
歴史先生:はい、「縄文海進」のせい、ですね。14,000年前ごろに氷河期が終わって、海面が上昇。5,700年前ごろには今の栃木市あたりまで東京湾が来ていた。
マナブ:さいたま市はその東京湾に突き出た半島のようになっていたんですね。
歴史先生:それから、さいたまは古墳が多い地域。古墳に関する資料や埴輪も多 数展示されていました。

中山道六十九次

中山道 大宮宿は今の大宮駅と氷川神社参道の間を南北に広がっていた
マナブ:そして中世以降は中山道の大宮宿として栄えた。
歴史先生:そうなんです。大宮は氷川神社で栄えたというよりも、中山道の宿場町として栄えました。
マナブ:板橋に行ったとき、そこが江戸から最初の宿場町だ、という話がありましたが。
歴史先生:中山道は六十九次。江戸からみて、板橋、蕨、浦和、そして大宮と宿場が続きます。
マナブ:東海道は五十三次なのに中山道はずいぶん長いですね。しかも山道で峠越えが多い。こちらを行く人なんていたんでしょうか?
歴史先生:東海道のほうが短いんですが、途中で何度も大きな川を渡ります。伊勢湾では海を渡ります。そのたびに待たされることも多かったようで、遠回りでも中山道を通るという選択肢も十分あったんですよ。
マナブ:なるほど、そうでしたか。ここは無料の博物館ながら、とても興味深い展示内容でした。
二千数百年の歴史を持つ古社:氷川神社

三の鳥居

歴史先生:さて、再び参道へ戻りましょう。
マナブ:今度はすぐに三の鳥居が見えてきました。
歴史先生:高さが15mあって、木製の鳥居としては日本最大級のものです。扁額の字は勝海舟によるものだとか。三の鳥居をくぐると、そこからは神社の境内になります。

氷川神社の境内案内図
氷川神社 (地図 ❹)
〒330-0803 埼玉県さいたま市大宮区高鼻町1−407
境内自由
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
https://musashiichinomiya-hikawa.or.jp/
マナブ:この神社について教えてください。
歴史先生:氷川神社は武蔵国一宮、という話はしましたね。その創建はとても古く、第5代 孝昭天皇の御代、とされています。
マナブ:というと?
歴史先生:孝昭天皇の在位は紀元前475年から紀元前393年ですが、紀元前472年の創建と伝わります。
マナブ:いやいや、さすがにそれは古すぎでしょう (笑)。
歴史先生:ヤマトタケル(72年~114年)は東国を平定する際にここに祈願のため立ち寄ったとされています。そして聖武天皇の時代に武蔵国一宮、と定められました。
マナブ:どこまでが神話で、どこからが史実なのかわかりづらい。いずれにせよ、とても古い神社であることは間違いなさそうですね。ところで「氷川神社」というのはあちこちでよく見かけますね。
歴史先生:280社ほどあって、埼玉県、東京都、すなわち武蔵の国に特に多いようです。ここ、大宮の氷川神社はそれらの総本社です。
マナブ:何を祀った神社なんですか?
歴史先生:祭神はスサノオノミコト、です。スサノオと言えば、暴れん坊の度が過ぎて姉のアマテラスから追放されたものの、出雲に降り立ってからはヤマタノオロチを退治した英雄。他の祭神はスサノオの奥さんである稲田姫尊(いなだひめのみこと)、その子である大己貴命(おおなむちのみこと = 大国主命)です。
マナブ:3人家族仲良くご祭神、ですね。
歴史先生:家族関係については古事記と日本書紀で異なっていたり、諸説あるところですので何とも言いづらいのですが。ところで「氷川」という名前ですが、由来の説がいくつかあります。その中で、出雲の暴れ川である斐伊川(ひいかわ)から来ているという説がもっとも説得力があるように思います。
マナブ:それは?
歴史先生:スサノオが退治 したというのは、8つに流路が分かれて氾濫を繰り返す暴れ川の斐伊川のことではないかと。斐伊川をきちんと治水し、農業生産を飛躍的に高めたことがヤマタノオロチの神話の元ではないかという説です。
マナブ:当時はお米が取れるかどうかが最重要だったんですよね。
歴史先生:そのために治水は為政者のもっとも大事な役目でした。だから進んだ治水技術を持っていたスサノオが英雄扱いされた、とも考えられますね。

神池にかかる橋

神池
マナブ:神池にかかる橋を渡ります。
歴史先生:かつては神社の東側が見沼(神沼、御沼とも)という巨大な沼になっていて、そこを江戸時代に新田開発しました。今の神池はその残された名残りだと言われています。
マナブ:目の前に立派な門が出てきましたよ。大きいなあ。
歴史先生:これが楼門、です。

氷川神社 楼門
マナブ:それにしても神社の格式の高さを感じるような門ですね。いつごろ建ったんでしょう?
歴史先生:実は今の主要な建物は1940年(昭和15年)、「紀元二千六百年」を記念して再建されたものなんです。
マナブ:神武天皇から数えて2600年、というものでしたね。

氷川神社 舞殿

氷川神社 拝殿と本殿
マナブ:平日にもかか わらず、たくさんの人が参拝に並んでいます。
歴史先生:ところで、横浜の山下公園にある船の名前、覚えていますか?
マナブ:あ、「氷川丸」。
歴史先生:あの船の名前はこの氷川神社から付けられたもの。船内には氷川神社のご祭神が祀られているんだそうですよ。
マナブ:ということは氷川神社の神様たちは太平洋を渡ってアメリカ西海岸まで旅した、ということになりますね。
歴史先生:たしかに(笑)。
マナブ:ところで、さっきから不思議に思っていることがあるのですが。
歴史先生:何でしょう?
マナブ:滋賀県に行ったとき、「神宮」とか「大社」とかをたくさん見て、その格付けについて教えてもらいました。ここ氷川神社ですが、歴史も古いようですし、関東に多い氷川神社の総本社として、十分「大社」を名乗る資格があると思うんですが。
歴史先生:いいポイントですね。たしかに氷川神社は延喜式の中で「名神大社」、明治には「官幣大社」になっているなど、十分に「大社」としても格をもった神社なんです。
マナブ:でもそう名乗ってない?
歴史先生:戦後まもなくGHQの指令で神社の格付けは廃止されたんですが、それ以降、氷川神社は「大社」と名乗っていません。正しい理由はわかりませんが、神社側の判断でそうしているのだろうと思われます。
緑豊かな大宮公園と見ごたえ十分の県立博物館

大宮公園 自由広場

マナブ:氷川神社の裏手にある、大宮公園(地図 ❺)に入ってきました。
歴史先生:氷川神社の本殿の裏側に当たる場所です。ここはかつて神聖な神社の森であったところ。そこを切り開いて大きな都市公園にしました。
マナブ:えっ、そんなことをして大丈夫だったんですか?
歴史先生:公園の造成計画が決まったのは1885年(明治18年)だそうですが、特にその時に反対運動も記録がないようです。
マナブ:大きな神社の背後に神秘的な神域が広がっていて、信仰の対象となる、そういった景観を残してほしかった気もします。でも今は広場や池などあって、市民の憩いの場になっていますね。

大宮公園 舟遊池

埼玉県立歴史と民俗の博物館
埼玉県立歴史と民俗の博物館 (地図 ❻)
〒330-0803 埼玉県さいたま市大宮区高鼻町4丁目219
入場料 300円(高校生以下、団体割引あり)
9:00~16:30 (最終入場16:00)、月曜休
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
https://saitama-rekimin.spec.ed.jp/
マナブ:大宮公園の中に、県立博物館があります。入って見ましょう。
歴史先生:非常に規模の大きな博物館です。展示も充実していて、縄文時代からの歴史や、近代の民俗まで幅広く揃っています。大宮に来たらここは見逃せない場所だと思います。
マナブ:展示を見ているのですが、当然のことながら、先ほどの市立博物館とテーマが被ります。貝塚のこと、古墳や埴輪のことなど。でもこちらのほうが広いので、より多くの展示がありますね。

展示室内部の様子

馬型埴輪
歴史先生:埼玉県は古墳の多いところでもあるので、古墳関係の資料もたくさんありましたね。
マナブ:県立博物館、充実していてかなり時間をかけてみました。満足度の高い博物館でした。
歴史先生:よかったです。
マナブ:大宮の街歩き、これで終わりですか?
歴史先生:「歴史」とは少し違うかもしれませんが、せっかくなのでもう1つ、大宮で有名な博物館に行きませんか?
マナブ:えっ。どこだろう?
圧巻のスケール。鉄道好きの聖地:鉄道博物館

鉄道博物館

鉄道博物館 (地図 ❼)
〒330-0852 埼玉県さいたま市大宮区大成町3丁目47
入館料1,600円(当日券)(高校生以下、団体割引あり)
10:00~17:00(最終入場16:30)、火曜休
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
https://www.railway-museum.jp/
マナブ:県立博物館から10分ほど歩いて、鉄道博物館に来ました。たしかにここは有名ですね。一度来てみたかった。
歴史先生:それはよかった。

駅から博物館へのアプローチ
マナブ:あ、これ、おしゃれですね。床が時刻表になっている。
歴史先生:そして天井を見てください。ダイヤグラムになってますね。
マナブ:あ、ほんとだ。博物館に入る前から気分が盛り上がりますね。

広々としたエントランスホール
マナブ:入口で案内マップをもらいました。さて、どこから見ようかな?
歴史先生:どうです、とんでもなく広いでしょう? 子供向けのゾーンもありますが、鉄道の歴史とか大人向けのコンテンツも豊富です。
マナブ:でも一番はやはり車両の展示ですね。車両ステーションへ行ってみましょう。

車両ステーションの入口

弁慶号

D51シミュレーター
マナブ:まず、入口付近は初期の蒸気機関車が並びます。
歴史先生:D51のシミュレーターがあって人気です。ほら、運転席はすごくリアル。お客さんがいっしょうけんめい石炭を入れていますね。
マナブ:これは子供たちと一緒に来るといいですよね。でも子供達には何のことかわかないかも。

車両ステーション中心部

貨物列車をけん引していた電気機関車

昔懐かしい特急電車
歴史先生:中心部に近づくと、だんだん私たちの記憶にあるような電車が出てきます。
マナブ:うわー、子供の頃に乗ったような懐かしい車両がいっぱいです。

寝台特急 あさかぜ
マナブ:あ、寝台特急あさかぜ。これ、よく乗りました。懐かしいなぁ。
歴史先生:私もこれは懐かしい。そうそう、昼間はこんな感じですが、夜になるとベッドが出てくるんですよね。

B寝台(昼間)

B寝台(夜)
マナブ:そうそう、はしごで登るんですけど、一番上は天井が迫っていて、狭かったな。
歴史先生:たしか一番上の段は少し料金も安かったように思います。
マナブ:落ちるんじゃないかと毎回思いましたけど、結構大丈夫なんですよね。
歴史先生:でもやっぱりベッドの幅もなくて、狭かったのを覚えています。

日本最大級の鉄道ジオラマ
歴史先生:鉄道博物館にはそのほかにも鉄道の歴史、鉄道に使われている技術、鉄道の仕事など、各テーマごとでの展示が豊富です。じっくり見て回ると丸1日かかりそうですね。
マナブ:とっても懐かしいものが見られて、大満足です。

鉄道博物館駅からニュートラムで大宮駅へ
歴史先生:鉄道博物館はニュートラムの駅に直結しています。ここから大宮へ戻りましょう。
マナブ:大宮駅までの間、巨大な車両工場が見えましたね。それから大宮駅に入る時、90度右折、90度左折、そしてさらに90度左折というすごいカーブを切って駅に入っていくのには驚きました。
歴史先生:こんなカーブ、他の路線ではなかなか体験できませんね。

大宮駅 西口駅前
歴史先生:さて、大宮はいかがでした?
マナブ:何と言っても氷川神社。参道の長さに驚きました。それだけ歴史のある、重要な神社なんだなということが感じ られました。それから市立・県立の博物館も充実していて、歴史の勉強になりましたよ。
歴史先生:東京都心部から比較的簡単にいける場所ですので、ぜひ東京の皆さんにも一度は来ていただきたいですね。

