一生に一度は行きたい! 船で行く神秘の島:竹生島
奈良時代、聖武天皇が建てた日本で唯一の「大弁財天」
秀吉が建てた大坂城の遺構かもしれない(?)国宝の唐門
一生に一度は行きたい! 船で行く神秘の島:竹生島

竹生島
マナブ:彦根の港にやってきました。ここから船に乗って竹生島へ行きます。港にある、広い無料駐車場に車を停めました。
歴史先生:ここからの船ですが、特にハイシーズンは事前に予約をしておいたほうが無難です。下記オーミマリンのWebサイトからの予約をお勧めします。


竹生島行きの船の乗り場

近江鉄道グループ オーミマリン (地図 ❹)
〒522-0002 滋賀県彦根市松原2丁目2−2
https://www.ohmitetudo.co.jp/marine/time-price/chikubushima/
マナブ:井伊直政ののぼりがたくさん立ってて、ずいぶんと「直政推し」ですね。
歴史先生:船、見ました?
マナブ:というと?

竹生島行きの船は井伊直政の「赤備え」カラー
歴史先生:ほら、私たちが乗る船は井伊直政の「赤備え」のデザインです。
マナブ:あ、ほんとだ。井伊直政軍と言えば、みんな赤い鎧を着てとても強かった。赤備え、と呼ばれて相手から恐れられたんですよね。
歴史先生:その通りです。

いよいよ乗船時間
マナブ:さぁ、乗船時間です。ここにも「ひこにゃん」がいます。
歴史先生:1階の室内席もありますが、景色を見るなら2階のデッキ席がおススメです。

船からは彦根城が遠くに見える
マナブ:さぁ、出港しました。後ろに彦根城が見えています。

エクシブ琵琶湖と伊吹山
歴史先生:船はどんどん北へ向かって進んでいきます。右側にエクシブ琵琶湖が見えてきました。そして背後に見えるのが伊吹山。
マナブ:伊吹山は大きいですね。
歴史先生:地図で見ると、竹生島は琵琶湖の北のはしっこあたり。とっても小さな島なんです。
マナブ:小さいけど、大変なパワースポットだ、と聞いています。
歴史先生:パワースポット、というのは私にはよくわかりませんが、非常に歴史と由緒のある、そして文化財の豊富な島であることは間違いありません。

もうすぐ竹生島
マナブ:出航から約40分後、もうすぐ竹生島に着きます。斜面に建物が立っているのが見えますね。
歴史先生:帰りの船の時間厳守、で回りましょう。船の便によって、70~80分の滞在時間になります。
マナブ:帰りの船を逃したら、大変ですね。

竹生島の案内図
マナブ:ここに案内図があります。
歴史先生:時計回りで行きましょう。港からまずは宝厳寺本堂(弁財天堂)、三重塔、唐門、都久夫須麻神社、龍神拝所、と回ります。
マナブ:では、出発!
奈良時代、聖武天皇が建てた日本で唯一の「大弁財天」

竹生島
〒526-0124 滋賀県長浜市早崎町1664−1
入島料600円(小学生以下、団体割引あり)
入島時間は船の時刻による
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
https://www.chikubushima.jp/ (宝厳寺)
https://www.chikubusima.or.jp/ (都久夫須麻神社)

写真の左側から登る。宝厳寺本堂は木に隠れて見えていない。そこから一番高いところにある三重塔へ。そのあとは右側の神社のほうへ下りて参拝する。

港から宝厳寺へ上る石段
マナブ:おっと、いきなり急な石段。滋賀県の旅って、こういうのが多くないですか?
歴史先生:今回の旅ではそういうの、多いですね。さて、気を付けて、頑張って上りましょう。

石段はまだまだ続く

本堂(弁財天堂)
マナブ:石段を登り切ったところは広場になっています。大きなお堂がありますね。
歴史先生:あれが宝厳寺の本堂にあたる、弁財天堂です。ここは「日本三弁財天」の1つ。他の2つも有名ですが、どこかわかりますか?
マナブ:えーっと、弁天様でしょ。きっと島ですよね。江ノ島。それから宮島かな?
歴史先生:大正解です! 竹生島、江ノ島、宮島が日本三弁財天と呼ばれているのですが、ここ竹生島は最初にできたので、ここだけは「大弁財天」という称号が与えられています。

竹生島は日本で唯一、「大弁財天」と称している
マナブ:どれくらい古いんですか?
歴史先生:奈良時代の初め、724年に聖武天皇の夢枕に天照大神が立ち、琵琶湖にある小島は弁財天の聖地だから寺を建てよと命じたんだそうです。
マナブ:夢のお告げ、という話が昔は多いですね。
歴史先生:今は夢は自分の記憶や意識を反映して自分で見るものとされていますが、昔は夢は神様・仏様などが現れて何かを告げるもの、と信じられていました。
マナブ:そこで聖武天皇が命じて寺を建立した。
歴史先生:はい。行基がその役を命じられ、竹生島に弁財天像を安置し、寺を建てました。あとから都久夫須麻神社に行きますが、その本殿は当時のお寺の本堂です。
マナブ:行基さんも全国で足跡を残しているスーパーマンですよね。
歴史先生:はい。ちょっとあまりにも実績が多すぎて、全部彼の業績とは考えづらいところがあります。
マナブ:その後竹生島はどうなったんですか?
歴史先生:平安時代には最澄、空海も来て修行をしたり、天皇の行幸も多数行われました。そのように栄えていた竹生島ですが、明治の神仏分離令、それにともなう廃仏毀釈の運動では廃寺の危機にさらされました。
マナブ:でもこうして残った。
歴史先生:信者たちの運動によって何とか廃寺は免れましたが、神社とお寺に分離され、弁財天像はしばらくは本堂を使えませんでした。そして1942年(昭和17年)になってようやく今の弁財天堂ができ、ここに安置されることになりました。
マナブ:そのご本尊は拝めますか?
歴史先生:いえ、秘仏です。60年に一度ご開帳されます。
マナブ:やっぱり(笑)。
歴史先生:代わりに前立の弁天像がありますので、通常時はそれを拝むことになります。ところで話は変わりますが、東京の上野公園、思い浮かべてください。
マナブ:はい。何度も行ったことがあります。
歴史先生:江戸の鬼門を守る上野の山には寛永寺が立っていて、それは東の比叡山、と呼ばれていた。
マナブ:はい。そういう話でしたね。
歴史先生:そのすぐ脇には大きな池が。不忍池(しのばずのいけ)、ですね。これは琵琶湖をモチーフにして作ったものです。
マナブ:あ、そうなんですか。
歴史先生:その不忍池に島が浮かんでいませんか?
マナブ:え? 待ってください。あ、そうだ。弁天堂のある島が池の中にあります。
歴史先生:そう、それが竹生島なんです。
マナブ:へぇー。知らなかった。江戸の町を作るにあたって、京都の縮図が作られていたんですね。

石造五重塔(国指定重要文化財)
歴史先生:こちらは鎌倉時代の石造りの五重塔。石造りの五重塔で国指定重要文化財になっているのは全国で7基しかなく、非常に珍しいものです。

再び石段を登って三重塔へ

三重塔
マナブ:三重塔のところまで上ってきました。
歴史先生:元々は江戸時代の建物でしたが惜しくも焼失してしまい、これは平成になってから復元されたものです。
マナブ:島の一番上に立っていて、船から見ても一番目立っていました。これがあるとないとでは、参拝に来た人の第一印象も変わっていたかもしれませんね。

三重塔の前の階段を下りる
秀吉が建てた大坂城の遺構かもしれない(?)国宝の唐門

石段を下りると「唐門」の前に出る。下の方に私たちが乗ってきた赤備えの船が見えている。

マナブ:階段を下りると、派手な彩色の建物が見えてきました。
歴史先生:これが国宝の「唐門」です。
マナブ:これって、信長の安土城天主の復元模型と、なんだか似ているような気がします。
歴史先生:そうですよね。当時の最先端の技術で、最高の贅を尽くした建築、というのがまさにこれ、なんでしょう。


見事な装飾が施された唐門(国宝)
マナブ:これはお寺の門にしては立派すぎませんか?
歴史先生:実はこれ、秀吉が建てた大坂城で唯一残っている遺構ではないか、と言われています。京都には秀吉の廟所があって「豊国廟」と呼ばれているのですが、そこから秀頼が竹生島に移築したものなんです。
マナブ:でも元は大坂城にあった。
歴史先生:そう、それは2006年にようやくわかったんです。というのは、欧州オーストリアのお城に飾ってあった屏風絵が大坂城のものであることがわかり、その絵の中で本丸と二の丸を結ぶ極楽橋と唐門が描かれていました。それが豊国廟を経て、ここ竹生島に残っているんです。
マナブ:たしか大坂城は秀吉の建物は破壊されて、家康が新しく建て直したんでしたよね。
歴史先生:はい、よって秀吉の大坂城の遺構は全く残っていないと思われていたんです。
マナブ:そうだとしたら、今こうして私たちが目にすることができるのも奇跡的なことですね。
歴史先生:そうですよね。さて、唐門を中に入ったところが観音堂です。こちらは国指定重要文化財。内部には千手千眼観世音菩薩像が本尊として祀られています。秘仏で60年ごとの開帳です。

舟廊下(国指定重要文化財)
歴史先生:観音堂をすぎると渡り廊下になっていて、都久夫須麻神社とつながっています。
マナブ:この廊下も国指定重要文化財、って書かれていますね。
歴史先生:この廊下に使われている木材ですが、朝鮮出兵の時に秀吉の御座船として造られた日本丸のものが使われているので、舟廊下、と言われています。桃山様式の建築の代表例です。

舟廊下の外観はこのようになっている。この道は神社から港へ下りる際に通るので後で見るとよい。

舟廊下は神社の本殿(国宝)につながっている
マナブ:舟廊下を通って都久夫須麻神社の方へ来ました。
歴史先生:これは都久夫須麻神社の本殿で国宝です。元々伏見桃山城にあった勅使殿なんですが、秀吉がここ竹生島に建物ごと寄進をしました。その後お寺の本堂でしたが、神仏分離令で神社に引き渡されたのはお話しした通りです。優雅な桃山建築の建物ですね。

龍神拝所
マナブ:本殿前の景色のいいところに来ました。
歴史先生:ここは龍神拝所と呼ばれていて、「かわらけ」に願い事を書いてここから投げて、鳥居をくぐれば願い事が叶うと言われています。
マナブ:かわらけ投げ、やってみましょう。
歴史先生:では私も。何をお願いしようかな。

竹生島から彦根へ船で戻る
歴史先生:再び「赤備え」の船に乗って、彦根に戻ります。竹生島、いかがでしたか?
マナブ:こうやって見ていても、とっても小さな島ですよね。でも文化財がぎゅっと詰まっていて、昔の人たちがここを大切にしていたんだな、と思うと、とても感慨深いです。以前から一度は来てみたい場所だったので、今回はこんなチャンスを作ってもらって、とてもよかったです。
<読んでおきたい本>
高野 澄
「井伊直政」

戦場での「赤備え」で敵方を恐怖に陥れた猛将、井伊直政。追っ手から逃げ隠れしていた子供時代だったが、徳川家康に見いだされて「徳川四天王」と呼ばれるまでに出世した。今川、織田、武田、豊臣、徳川といった大名たちが覇権争いを繰り広げる戦国末期に、その運命に翻弄されながらも力強く生きた直政の一生をこの一冊で体験したい。

