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東京都 多摩 島しょ部 アイテムタイトル その1_1.jpg
登場人物:
・マナブ: IT業界ビジネスマン。最近、歴史に興味を持つようになり、ただいま勉強中。
・歴史先生:歴史に詳しい街歩きの達人。マナブと一緒に旅をする。
伊豆大島の意外な位置と地形を知っておこう
 
伊豆諸島はなぜ静岡県ではなくて東京都なのか?
 
東京から伊豆大島へ高速船で移動
 
岡田と伊豆大島北部を巡る
 
伊豆大島と言えば「あんこさん」
 
「椿油」はどうして伊豆大島の名産品になったのか?
 
三原山のカルデラに泊まって大自然を感じよう
 
伊豆大島で採れる天然の塩は体にいいの?
 
伊豆大島の中心「元町」と火山の博物館「ジオノス」
 
バームクーヘンの愛称で知られる「地層大切断面」
 
噴火口の地形を生かした天然の良港:「波浮港」

 

伊豆大島の意外な位置と地形を知っておこう

 

 

マナブ:さて、今回は伊豆大島を旅します。

 

歴史先生:最初に伊豆大島の位置を確認しておきましょう。

 

マナブ:この地図を見て思ったんですが、伊豆大島って、伊豆半島のもっとすぐ近くにあるような気がしていました。

 

歴史先生:名前からして伊豆半島のすぐ近くに思われがちですが、伊豆半島からは結構距離があり、房総半島からも意外と近いんです。房総半島の先端に行くと伊豆大島が近くに見えますよ。

 

マナブ:そうなんですね、意外でした。ところで、以前、静岡県の「伊豆半島の地形」の記事の中で、伊豆半島や伊豆諸島は太平洋プレートが潜り込んでいるところにできた海底火山の列で、太平洋から北上して日本列島に次々に衝突している、という話がありました。

 

歴史先生:そうですね。伊豆大島もそういった海底火山の1つです。今後、日本列島に衝突していくことでしょう。

 

三原山

 

マナブ:今でもそこそこ高い山ですが、海底からすると、もっと大きい火山なんですよね。

 

歴史先生:はい。伊豆大島の最高点は三原山の758mなんですが、海底は海面から300~400m下ですので、1,000mを超える火山と言えそうです。

 

マナブ:なるほど。

 

歴史先生:そして島の面積の97%が富士箱根伊豆国立公園に指定されています。人口は7千人ほど。東京都に属する大島町、です。

 

伊豆諸島はなぜ静岡県ではなくて東京都なのか?

 

伊豆諸島

 

マナブ:ところで、伊豆諸島は東京都というのは何だか違和感があります。地理的には静岡県でよかったのでは?

 

歴史先生:それをお答えするために、島の歴史をお話しておきましょう。伊豆大島には8,000年ほど前に縄文時代から人の生活の痕跡があります。古代では推古天皇や天武天皇の時期に流刑地としてこの島の記録が出てきます。

 

マナブ:ずいぶん古い時代から流刑地だったんですね。

 

歴史先生:平安時代の末期、保元の乱に敗れた源頼朝のおじさん、「鎮西八郎」こと源為朝は、伊豆大島に流されました。この人はすごい英雄で、生まれつきの乱暴者として九州に流されたもののそこで勢力をつけ、保元の乱に参戦。そこで敗れて伊豆大島に流されましたが、今度は伊豆大島で勢力をつけて伊豆諸島を勢力下におき、再び反乱。鎌倉幕府から追討されますが、その後沖縄に渡り、為朝の子が琉球王家の始祖、「舜天」になったということが沖縄では言われています。

 

マナブ:ホントだとしたらすごい話ですね。

 

歴史先生:さて、伊豆大島の歴史に戻ると、中世ではここは伊豆国に属していました。戦国時代には後北条氏が支配するようになり、江戸時代には徳川幕府の直轄地となりました。

 

マナブ:そこから東京都のつながりができた。

 

歴史先生:そうですね。江戸時代になってもここは流刑地でしたが、1796年には流刑地ではなくなり、水産物などの生産基地としての姿に変わっていきます。

 

元町港

 

歴史先生:さて、1868年の明治維新では、伊豆大島は韮山県に取り込まれ、1871年には足柄県、1876年には静岡県になりました。

 

マナブ:あ、明治の最初のころは静岡県だったんだ。

 

歴史先生:しかし島の人たちは東京との結びつきが強く、東京移管を望む声が強かったため、1878年に東京都へ移されることになったんです。

 

マナブ:そこからずーっと東京都。

 

歴史先生:そうなんですが、太平洋戦争後、アメリカになりそうだったんです。

 

マナブ:えっ、そうなんですか?

 

歴史先生:1946年(昭和21年)1月29日にGHQは「SCAPIN-677」という命令を出しました。これは米軍による日本の統治政策の基本を示した文書だったんですが、その中で伊豆諸島・小笠原諸島・沖縄諸島などはアメリカの統治下に置かれるようになっていました。

 

マナブ:でも伊豆諸島に関してはそうはならなかった?

 

歴史先生:アメリカの統治下になることが発表されて以来、伊豆諸島では強い反対運動が起き大混乱に陥ります。そのためGHQは3月22日に修正案を出し、伊豆諸島は東京都に据え置かれました。そのかわり小笠原諸島と沖縄諸島はアメリカの統治下となり、小笠原諸島は1968年(昭和43年)に、沖縄諸島は1972年(昭和47年)にようやく日本に復帰します。

 

東京から伊豆大島へ高速船で移動

 

東海汽船のジェット船

 

 

マナブ:ではいよいよ、東京から伊豆大島へ出発します。

 

歴史先生:行き方には3種類あります。船便としては東京竹芝桟橋から高速のジェット船と大型客船。空の便としては調布空港からプロペラ機が出ています。ジェット船は朝の出航で所要1時間45分、大型客船は夜22時出航、翌朝6時着。飛行機は45分のフライトです。

 

マナブ:私たちは東海汽船のジェット船で行くことにしました。

 

東海汽船

https://www.tokaikisen.co.jp/ 

 

ジェット船の船内

 

マナブ:ジェット船、初めて乗りました。「早い・揺れない」というのが売りですが、たしかにそのとおりですね。東京湾の中は比較的ゆっくりと進み、外洋に出ると高速で運行します。高速運行時はシートベルト着用で、まるで飛行機みたい。

 

歴史先生:そうですね。

 

マナブ:ところで、乗船前から「本日は岡田港(おかたこう)に到着します」というアナウンスが何度も流れているのですが、どういう意味ですか? 何か今日はトラブルがあったんでしょうか?

 

歴史先生:いいえ、ここが珍しいところなんですが、伊豆大島には「元町港」「岡田港」という2つの港があって、その日の天候によってどちらに着くか決まるんです。伊豆半島の中心は元町港ですので、今日はそうではない方に着きます。

 

マナブ:どうしてそんなことに?

 

歴史先生:伊豆諸島というのは太平洋の荒波の真っただ中にある孤島。波や風の影響をまともに受けますから、船の運航というのは本来とても難しいんです。伊豆大島では島の西側の元町港、島の北側の岡田港のどちらか条件の良いほうが使われます。

 

マナブ:でも、それって困りません? ホテルの送迎とか、どうするんだろう? 私たちはレンタカーを予約しましたが、どうなるんですか?

 

歴史先生:その日、船がどちらに着くかはホテルやレンタカーの業者さんはよくわかっています。船の着く方に迎えに来てくれますからご安心を。

 

マナブ:なるほど。でも港の食堂なんかは仕入れや準備が大変ですよね。船が着かなかったらその日はお客さんがほとんどいないでしょうから。

 

歴史先生:たしかにそうですね。

 

岡田と伊豆大島北部を巡る

 

岡田港

 

 

 

マナブ:さて、岡田港(地図 ❶)に着きました。3階建ての近代的なターミナルです。この建物はすごいですね。

 

歴史先生:2019年にできた新しい施設です。

 

マナブ:あ、レンタカーの送迎の方がプラカードを持って出迎えていただいています。私たちが予約したレンタカー会社(トヨタレンタカー)のオフィスは岡田港から比較的近いところにありました。ここで車を借りて、出発です。

 

歴史先生:では岡田(おかた)の町から歩き始めましょう。

 

マナブ:平野のほとんどない、港だけの町という感じです。

 

歴史先生:はい、ここは元町と並んで古くから栄えた港。本土から伊豆大島へ渡る際の玄関口として機能してきました。源為朝が上陸したのもここ岡田と言われています。小さな八幡社があるのですが、ここは源為朝がテコを使って溶岩を取り除いて開いた神社だとか。

 

マナブ:流刑地だったという話がありましたが、ここがその受け入れ口。

 

歴史先生:はい、そのとおりです。

 

港の周辺にはお土産店や食堂などが並ぶ

 

岡田にはおしゃれなカフェやB&Bなどが増えてきている

 

歴史先生:ところで、新しい港のターミナルができて、町も変わりつつあります。近年ではオシャレなカフェやB&Bなどがオープン。小さな何もない漁師町から、オシャレな目的地へとなりつつあるんです。

 

マナブ:ここ、おしゃれですね。

 

歴史先生:Starfish and Coffeeというカフェです。フィッシュバーガーなどが人気のお店。入って見ましょう。

 

Starfish and Coffee

https://instagram.com/starfish_izuoshima 

 

洗練されたデザインの店内

 

フィッシュバーガーのセット

 

マナブ:ここはおしゃれですね。東京の都心でも十分通用しそうなデザイン。そしてフィッシュバーガーもサクサクでおいしい。

 

歴史先生:そうですね。こういったレベルの高いお店が観光客を惹きつけ、町を少しずつ変えていくんだと思います。

 

 

 

歴史先生:では島の北部をドライブします。ここには空港がありますが、その近くにある「ぶらっとハウス」に行ってみましょう。

 

ぶらっとハウス

 

ぶらっとハウス

〒100-0102 東京都大島町岡田新開87−1

9:00~16:00、無休

(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)

https://burattohouse.com/ 


歴史先生:ところで、伊豆大島は農業に向いている島だと思いますか?

 

マナブ:えーっと、ここは火山島ですよね。土壌は火山灰。水はけは良さそうですが・・・田んぼにするには不向き。

 

歴史先生:ということで、水はすぐに土の中に沁み込んでしまう。島の人たちは水の確保に長年苦労を重ねてきました。そして台風などの厳しい自然条件とも戦ってきました。

 

マナブ:みんなで助け合っていかなければなりませんね。

 

歴史先生:はい、そのため生産者さんたちの結束が固いのが伊豆大島の特長。ここ「ぶらっとハウス」は65人の生産者さんが産品を持ち寄って運営している直売施設です。

 

マナブ:アイスクリームが人気のようですが。

 

歴史先生:そのようですね。おいしそうです。食べて行きましょうか。

 

マナブ:いいですね。

 

伊豆大島と言えば「あんこさん」

 

大島町郷土資料館

 

 

歴史先生:次に大島町郷土資料館へ寄って、島の歴史を学びましょう。

 

マナブ:いいですね、行きましょう。

 

大島町郷土資料館

〒100-0101 東京都大島町元町地の岡30−5

入館料200円(小学生以下、団体割引あり)

9:00~16:30、無休

(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)

https://www.town.oshima.tokyo.jp/soshiki/kyouiku/kyodo-shiryo.html 


歴史先生:入館料は安いですが、とても充実した展示内容です。

 

マナブ:人が少ないので、ゆっくりと見て回れるし、資料館の方からいろいろと説明をいただきました。島の地形、縄文時代からの発掘品、保存されている民家や民具など、盛りだくさん。

 

館内にはパネルや民具などの展示が豊富

 

歴史先生:伊豆大島といえば「あんこさん」が有名ですが、ご存じですか?

 

マナブ:もちろん。都はるみの「アンコ椿は恋の花」という歌がありましたね。「あんこ~♪」というサビが印象的。

 

こちらから聴けます

都はるみ 公式YouTube チャンネル

https://www.youtube.com/watch?v=vSvEN4hm4fs

 

歴史先生:その「あんこ」ですが、何のことでしょう?

 

マナブ:たしか、島の娘さんのこと?

 

歴史先生:正解です。「姉っこ」とか「あの娘」とかが語源とされています。

 

マナブ:何で有名になったんですか?

 

歴史先生:男たちが漁に出ている間、女たちは井戸に水くみに行ったり炊事・洗濯などの家事をこなしていました。絣(かすり)の着物を着て、頭にはてぬぐい。その島独特のスタイルが島の旅情を掻き立て、有名になったんです。

 

マナブ:なるほど。

 

歴史先生:そんな「あんこさん」の歴史や古い写真パネルなどもたくさん展示されていますので見ていきましょう。

 

大島温泉ホテルには「あんこさん」の衣装が置かれていて自由に写真が撮れる

 

「椿油」はどうして伊豆大島の名産品になったのか?

 

椿資料館

 

 

大島公園(地図 ❷)

〒100-0103 東京都大島町泉津福重756−2

椿資料館:入館無料、8:30~16:30、無休

https://www.izu-oshima.or.jp/geopark/brand/brand/brand04.html

大島公園動物園:入場無料、9:00~17:00、無休

https://oshima-navi.com/zoo/index.html

(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)


マナブ:島の東側までドライブして、「大島公園」というところへやってきました。

 

歴史先生:ここは動物園の他、珍しい椿(つばき)の博物館があります。

 

マナブ:先ほどからお土産店で「椿油」をたくさん売っていました。これは伊豆大島の名産なんですか?

 

歴史先生:はい、伊豆大島を代表するお土産品と言えるでしょう。

 

マナブ:ここには椿の木がたくさん生えてる?

 

歴史先生:伊豆大島には実に300万本もの椿が生育していると考えられます。ここには椿がよく生育する条件がそろっているんです。

 

マナブ:例えば?

 

歴史先生:まずは土壌。火山灰による土壌は水はけが極めてよく、椿の生育に向いています。次に気候。温暖で雨の多い気候も椿に向いています。

 

マナブ:それでたくさん自生していた。

 

歴史先生:さらに、椿は人々の暮らしに欠かすことのできない木として、たくさん植えられたんです。まずは優れた防風林として重宝されました。強い風にも強く、火山性ガスにも負けません。

 

マナブ:なるほど。

 

歴史先生:椿はすぐに幹が太くなり、薪にするための木材になりました。そして椿油。食用油、灯用の油、さらにはあんこさんの髪につける保湿油として役に立ったんです。

 

マナブ:そして今ではお土産になった。

 

歴史先生:そうですね、観光ブームに乗って伊豆大島の椿油は魅力的なお土産品になったわけです。

 

大島公園の動物園ではワオキツネザルが人気

 

三原山のカルデラに泊まって大自然を感じよう

 

大島温泉ホテルから三原山のカルデラを望む

 

 

歴史先生:大島公園から山を登ります。三原山の大きなカルデラの外輪山の端っこ、今夜はそこに泊まりましょう。

 

マナブ:カルデラの外輪山の端っこ?

 

歴史先生:はい、地図を見ていただくとカルデラの地形がはっきりわかりますよね?

 

マナブ:たしかに。

 

歴史先生:直径約4kmのカルデラの中に高さ約150mの中央火口丘としての三原山がそびえています。

 

マナブ:阿蘇山の巨大カルデラはどれくらいでしたっけ?

 

歴史先生:阿蘇山のカルデラは東西約18km、南北約25kmですから、とてつもなく大きいことがわかります。

 

マナブ:ひゃー、阿蘇山はやっぱり大きい。

 

歴史先生:しかし三原山のカルデラの中は一面の砂漠。家はもちろん、人工物は何もない、自然のままの姿が広がります。

 

三原山登山口の方向から見ると三原山はきれいな台形をしている

 

 

マナブ:山を登りきったところにホテルがありました。

 

歴史先生:大島温泉ホテル。では、チェックインしましょう。

 

大島温泉ホテル

 

伊豆大島 大島温泉ホテル

〒100-0103 東京都大島町泉津木積場3−5

(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)

https://www.oshima-onsen.co.jp/


マナブ:建物自体はやや古いですが、何と言ってもこの景色。部屋からも、お風呂からも、真正面に三原山のカルデラが見渡せます。ここはすごいですね。

 

歴史先生:夜になったら星空がすごいですよ。

 

マナブ:あ、そうか。見える範囲に人工物がなく、灯りはゼロ。しかもここは絶海の孤島なので本土からの灯りの影響もない。晴れるといいな。

 

懐かしさを感じる和室

 

椿フォンデュ

 

歴史先生:夕食での名物は「椿フォンデュ」。島で作られた椿油をたっぷりと使って、その中で衣をつけた具材を揚げていきます。伊勢海老や島名産のアシタバなど、おいしそうです。

 

マナブ:これはおいしい。さっぱりと揚がっています。

 

部屋からは日の出が良く見える

 

三原山を見渡せる食堂

 

歴史先生:朝食は食堂で。三原山が見渡せる、朝日の差し込む素敵な場所です。

 

マナブ:実に気持ちよい朝食でした。

 

伊豆大島で採れる天然の塩は体にいいの?

 

売店では「海の精」の塩製品が多数販売されている

 

歴史先生:ところで、伊豆大島の名産の1つは塩。

 

マナブ:塩といえば瀬戸内とかで塩田が広がるイメージですが。

 

歴史先生:ここは伊豆大島の海水をくみ上げて製塩をしています。「海の精」という塩のメーカーさんの製品が全国の自然食品のお店などで売られていますが、海の精の工場があるのがこの伊豆大島。

 

マナブ:そういえば、瀬戸内でも塩田って見たことがない気がします。

 

歴史先生:そうなんです。1971年(昭和46年)に政府は「塩業近代化臨時措置法」というのを出しました。これは塩を低コストで安定的に生産することで、塩の供給を安定させるための法律です。「近代化」という文字が入っている通り、これまでの伝統的な製塩方法をすべて禁止し、「イオン交換膜法」という技術を使って近代的な工場で生産するように強制したんです。

 

マナブ:伝統製法を禁止する、というのは過激すぎませんか?

 

歴史先生:そうまでして一気に近代化を進めようとしたのでしょう。しかし「イオン交換膜法」でできる塩は99%以上「塩化ナトリウム」。伝統製法で作られる塩は80~95%程度の塩化ナトリウムに加えてマグネシウム、カリウム、カルシウムなどの天然のミネラルが含まれています。

 

マナブ:どう違うんでしょう?

 

歴史先生:99%塩化ナトリウムの塩をたくさん摂取すると、血管が収縮して高血圧や動脈硬化などの原因になります。人間の体を維持するために塩が欠かせないと言われますが、それはバランスの良いミネラルを含んでいればこそ、のお話。たとえばカリウムは余剰のナトリウムを排出する性質があって、むしろ血圧を下げる効果があります。

 

マナブ:バランスよくミネラルが含まれている塩でなければならないんですね。

 

歴史先生:そのとおりです。そういったことから、この法律が施行されたのち、伝統製法の復活を求める運動が盛んになりました。まだまだ生産量は圧倒的に少ないんですが、私たちが日常的に食べるには天然塩のほうがお勧めです。

 

マナブ:「高血圧の人は塩を減らした方がいい」と聞きますが、血圧を下げる効果があるカリウムを含んでいるのなら、天然塩はたくさん食べても大丈夫?

 

歴史先生:いえいえ、天然塩も主成分は塩化ナトリウムですので、摂り過ぎはよくありません。天然塩を適量摂取するのがベストでしょう。

 

マナブ:実際、天然塩はおいしいんでしょうね。

 

歴史先生:塩の味が全然違います。ぜひこれは試していただきたいし、お土産だけでなく普段使いの塩として使っていただきたいですね。

 

マナブ:なるほど、まずはここで試しに買って帰ります。

 

歴史先生:家に帰った後は、以下のサイトでも購入できますよ。

 

海の精(株)

https://www.uminosei.com/ 


伊豆大島の中心「元町」と火山の博物館「ジオノス」

 

三原山登山道路展望台から見る元町と伊豆半島、富士山

 

 

マナブ:大島温泉ホテルから元町へと、山を下りていきます。

 

歴史先生:途中、「三原山登山道路展望台」がありますので、寄っていきましょう。

 

マナブ:おぉー、ここは絶景だ。

 

歴史先生:眼下には元町と青い海。遠くには伊豆半島、そして富士山も見えています。

 

 

伊豆大島ミュージアム ジオノス

 

歴史先生:元町に下りてきました。ここには「伊豆大島ミュージアム ジオノス」がありますので、まずは立ち寄りましょう。

 

マナブ:「ジオ」という名前からして地学関連の博物館?

 

歴史先生:はい、そうです。2024年までは「伊豆大島 火山博物館」という名称でした。ここは伊豆ジオパークの拠点として、伊豆の地学的な面白さを発信する博物館になっています。

 

伊豆大島ミュージアム ジオノス(地図 ❹)

〒100-0101 東京都大島町元町神田屋敷617

入館料820円(高校生以下、団体割引あり)

10:00~16:30(最終入場16:00)、東京発の大型客船入港日は9:00~。水曜休。

(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)

https://izuoshima-geonous.org/


マナブ:伊豆大島の成り立ち、そして近年の三原山の噴火に関する貴重な資料がたくさんあって、とても勉強になりました。

 

歴史先生:近年の噴火といえば1986年(昭和61年)のものが大きなニュースになりました。全島民と観光客1万1千人が迅速に避難し、死者ゼロという素晴らしい成果を上げました。

 

マナブ:この時は噴火が1か月続き、その間、島民の方々は東京都内などに避難していたんですね。ニュースで見た記憶があります。いや、それは三宅島だったかな?

 

歴史先生:2000年(平成12年)に三宅島も同じように噴火し、全島避難を余儀なくされました。その時は5年に渡って避難生活が続いたんです。

 

マナブ:あ、自分の記憶はそのニュースかもしれない。

 

元町港

 

マナブ:元町の港に来ました。ここのターミナルも大きいですね。

 

歴史先生:今、左に大型客船、右に高速船が泊まっています。

 

 

歴史先生:岡田と同じく、元町にもおしゃれなカフェや宿泊施設が増えています。そのうちの1つ、Book Tea Bed に行ってみましょう。

 

Book Tea Bed

〒100-0101 東京都大島町元町2-3-4

http://btb-oshima.jp/


おしゃれな店内

 

サンドイッチとコーヒーを頂く

 

マナブ:ここもとってもおしゃれですね。私たちはカフェを利用していますが、宿泊もできるみたい。

 

べっこう寿司

 

歴史先生:そうそう、伊豆大島の名物の1つと言えば「べっこう寿司」。白身魚を島トウガラシで作った青唐辛子醤油に漬け込んで握ったもの。

 

マナブ:魚と唐辛子。島の名産の組合せ。

 

歴史先生:漬け込むと白身がべっこう色に染まることから、この名前になりました。今回宿やレストランで食べる機会がなかったので、この写真は元町のスーパーで買ったもの。

 

マナブ:おー、これはピリ辛でおいしい。どんどん食べられます。止まりませんね。

 

バームクーヘンの愛称で知られる「地層大切断面」

 

車線の左のスペースに車を停めよう

 

 

 

マナブ:私たちは車で元町から南へ。島の南西部に来た時、突然ものすごい地層が見える場所がありました。

 

歴史先生:「地層大切断面」と言われる場所です。道路が少し広くなっていて、車線の左側に車を停めることができます。

 

地層大切断面(地図 ❺)

〒100-0104 東京都大島町野増

見学自由

(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)

https://oshima-navi.com/geopark/stratum.html


マナブ:たまに地層が見える崖ってありますけど、ここは規模が違う。

 

歴史先生:そうですね。長さ630m、高さ24mもあります。ここは自然にできた崖ではなくて、道路を建設する際に切り開いた崖です。

 

マナブ:この地層、どうなっているんですか?

 

歴史先生:ご存じの通りここは火山島。三原山が繰り返し噴火しています。地層をよく見ると植物などによる腐植土と、噴火による火山灰やスコリアが交互に積もっています。

 

マナブ:気の遠くなるような長い時間をかけて降り積もったんでしょうね。

 

歴史先生:18,000年くらいかけて作られたようです。

 

マナブ:ん? 数億年とか、もっと長い時間を想像していました。18,000年って、短くないですか?

 

歴史先生:いいポイントですね。この地層を詳しく見ていくと、三原山の噴火は100年程度の周期で規則正しく起きていることがわかります。それほど短い周期で火山灰やスコリアが積もりますので、短期間でこんな地層ができるんです。

 

地層観察の絶好のポイント

 

マナブ:なるほど。そして地層がくねくねと歪んでいるのは、すごい力がここにかかっているんですね。地球のパワーを感じます。

 

歴史先生:地殻変動による「褶曲(しゅうきょく)」のことだと思いますが、ここは違います。

 

マナブ:というと?

 

歴史先生:褶曲で地層が曲がるには何百万年もかかります。でもここはたったの18,000年。

 

マナブ:ん? だとするとどうして?

 

歴史先生:元々、ここはごつごつした山の一部です。真面目からまっ平ではないところに火山灰が積もれば、その山の斜面に沿った形になりますよね。

 

マナブ:あ、そうか。なるほど。

 

歴史先生:18,000年分の地層が詳細に観察できたことで、三原山は世界でも最も研究の進んだ火山の1つと言われています。

 

バームクーヘンの形をしたバス停

 

マナブ:バス停がおもしろい。「バームクーヘン」(笑)。

 

歴史先生:そうですよね。まさに見た目はバームクーヘン。伊豆大島のお土産の1つにもなっています。

 

地層大切断面から海方向を見る

 

歴史先生:ここからの海の景色もきれいです。

 

マナブ:遠くに島が見えていますね。

 

歴史先生:尖っている方が利島。平たい方が新島。そして下を見てください。海の精の製塩工場(千波工場)が見えています。

 

マナブ:あ、ここで海水をくみ上げて天然塩を作っているんですね。

 

 

歴史先生:地層大切断面から1㎞ほどいったところに「砂の浜(さのはま)」があります。メインの道路から脇道に入ったところに小さな駐車場があります。

 

マナブ:おぉ、ここは真っ黒。

 

歴史先生:はい、真っ黒な砂浜が数百メートルにもわたって続く、神秘的なブラックビーチ。

 

砂の浜

 

マナブ:何で真っ黒なんですか?

 

歴史先生:これは火山でできた溶岩(玄武岩)が長い年月をかけて崩れ、細かくなって砂となり、ここに堆積したもの。砂が積もったことで海岸の浸食が緩和され、山から次々に砂が供給されています。

 

マナブ:夏は海水浴でにぎわいそう。

 

歴史先生:ここは遊泳禁止なんです。太平洋の荒波が直接打ち寄せる危険な場所です。

 

マナブ:なるほど。

 

歴史先生:南西向きですので、冬の夕日はとても美しい。そしてここではウミガメの産卵も見られるそうですよ。

 

マナブ:大自然を感じられる素敵な場所ですね。

 

噴火口の地形を生かした天然の良港:「波浮港」


見晴台から見た波浮港



マナブ:伊豆大島の南の端っこ、波浮港(はぶみなと)に来ました。


歴史先生:波浮港にはどんなイメージがありますか?


マナブ:えーっと、都はるみの「アンコ椿は恋の花」の歌詞に、「3日遅れの便りを乗せて 船がゆくゆく 波浮港~ ♪」というのがありました。


歴史先生:なるほど(笑)。「3日遅れの・・・」というのは、荒波でなかなか東京への船が出航できない、ということを表しているんでしょうね。ところで「波浮の港」という曲はご存じですか?


マナブ:いいえ。


歴史先生:野口雨情作詞、中山晋平作曲で、1928年(昭和3年)にリリースされて大ヒットした曲です。


マナブ:私たちよりだいぶ上の世代でないと知らないかも。


歴史先生:ひょっとすると聞いたことがあるかもしれませんよ。こちらは石原裕次郎さんのバージョン、聞いてみてください。


石原裕次郎 Music Channel

https://www.youtube.com/watch?v=prxoA8Nsv1s


マナブ:あ、聞いたことある(笑)。



歴史先生:さて、ここの地形を見ていただきたいのですが、波浮港は高い円形の崖に囲まれています。


マナブ:これは噴火口だったのかな?


歴史先生:正解です。元々は「波浮の池」と呼ばれていた火口湖でした。しかし江戸時代の大津波で海とつながり、その後1800年に開削工事が行われて、波の影響を受けない良港として発展することになりました。


マナブ:元町にしても岡田にしても波の影響が大きそうでしたから、ここは貴重な港になりますね。


歴史先生:伊豆諸島を行き来する船にとってはまさにオアシス。多くの船乗り、さらには文人墨客が訪れて町は大変な人でにぎわったそうです。


波浮港のノスタルジックな街並み


展望台に登ってみよう


歴史先生:展望台に登ると全体の景色が良くわかります。


マナブ:たしかに、ぐるりと崖に囲まれていますね。そしてわずかな平地にぎっしりと建物が並んでいる。大島町郷土資料館で昔の写真を見ました。湾内にはぎっしりと船が並んで、町には人が溢れていた。


歴史先生:そうですね。その当時の賑わいを今に伝える「港屋旅館」に行ってみましょう。


マナブ:展望台への坂の途中にありましたね。


旧港屋旅館



旧港屋旅館(地図 ❻)

〒100-0212 東京都大島町波浮港1番地

入館無料

9:00~16:00(最終入場15:30)、無休

(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)

https://izuoshima-geo.org/know/highlights/culturalsite/bunkasite-16.html


歴史先生:ここ港屋旅館では風待ちの漁船の船員さんたちや観光客がたくさん泊っていて、連日宴会で大賑わいだったそうです。


マナブ:木造3階建て、のようですね。


歴史先生:館内にはたくさんの宴会場があります。


当時の様子を再現


マナブ:あ、こんな感じだったんですね。


歴史先生:ところで川端康成の「伊豆の踊子」をご存じですか?


マナブ:中身を詳しくは知りませんが、題名だけはもちろん。


歴史先生:小説の中の「薫」という踊り子は、ここ港屋旅館にいた「たみ」という踊り子がモデルなのだとか。お客さんからのお呼びで、座敷に上がって踊りを披露していたようです。


マナブ:ということは川端康成もここに滞在していた?


歴史先生:という記録はないそうです。小説では薫は伊豆大島から伊豆半島へ来て主人公と出会い、そこで物語が進みます。


マナブ:なるほど。


鵜飼商店


鵜飼商店

〒100-0212 東京都大島町波浮港1

9:30~12:30、15:00~18:00、水曜休

(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)

https://tabelog.com/tokyo/A1331/A133101/13130383/


歴史先生:港に一番近い場所にある「鵜飼商店」に行きましょう。ここはコロッケが評判。


マナブ:揚げたてコロッケ。おいしそう。町全体に観光客は少ないんですが、ここだけは行列ができています。


歴史先生:でもコロッケのテイクアウトですから、回転はとても速いです。


揚げたてのコロッケを港でいただく


マナブ:これはうまい。衣がサクサク。1つ100円という価格もうれしい。


歴史先生:ということで、伊豆大島を北から南まで、ずっと見てきました。いかがでしたか?


マナブ:いやー、楽しかった。大迫力の火山地形は感動の連続。そしてそこに暮らす人々の歴史と生活。日本の本土とはまた違った文化。まさに離島を感じられる場所でしたね。他の離島にも行きたくなりました。


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