立山駅から称名滝への絶景バス旅。悪城の壁に絶句。
滝が大きすぎて遠近感が狂う? 滝までの遊歩道
日本で断トツ。世界レベルの落差500m!:称名滝&ハンノキ滝
立山駅から称名滝への絶景バス旅。悪城の壁に絶句。

称名滝探勝バスは立山駅前のロータリーから発着している

マナブ:さて、立山駅を出てすぐ目の前に、称名滝行きのバス停があります。ここからバスに乗っていよいよ念願の称名滝に行きます。
歴史先生:このバスは立山黒部アルペンルートのチケットには含まれていません。通常の路線バスと同じく、乗って運賃(500円)を支払います。
マナブ:いよいよ念願の称名滝。わくわくが止まりません。
歴史先生:約15分ほどで称名滝のバス停に着き、そこから1.3㎞ほどの遊歩道を歩いていきます。
マナブ:では早速乗りましょう。
歴史先生:右側の席が景色 がいいので、おすすめです。

称名川
マナブ:バスは立山駅を出発するとすぐに坂を下りていき、称名川にかかる橋を渡ります。きれいな水、そして結構水量がありますね。
歴史先生:今(6月上旬)は雪解けで水量も豊かな時期。滝も期待できそうですね。

右側の車窓からは美しい称名川が眺められる
マナブ:称名川、とてもきれいです。段々になっていますね。
歴史先生:はい、ここも立山カルデラの砂防 工事の対象地域の一部です。一気に土石流が流れないよう、たくさんの砂防堰堤が築かれています。
マナブ:それ自体が滝のようで、きれいです。

崖の途中に立山有料道路が見える
マナブ:山肌になにか長い構造物が見えますが。
歴史先生:あれは立山有料道路、です。一般のマイカーは入れませんが、団体の貸し切りバスなどは直接室堂から富山方面へこの道を通って抜けていきます。
マナブ:それにしてもすごい急斜面を下ってきますね。
歴史先生:一気に500m下ってきますから、大変な工事だったと思います。


悪城の壁
歴史先生:いま、車内アナウンスがあったように、右側に見えているのが「悪城の壁」です。
マナブ:うわあー、大迫力。言葉が出ません。
歴史先生:高さ500m。ちょっと写真では伝わりにくい大きさですね。
マナブ:すごい・・・。
歴史先生:ここはさっき砂防博物館で勉強しましたね。
マナブ:はい。ここに露出しているのが黒っぽい岩が「溶結凝灰岩」ですね? これだけの大量の火山灰や火砕流がおそらくは1~2日の間に堆積して、自分自身の重量でギュッと固まった岩。
歴史先生:そうです、そうです。
マナブ:このスケール感。言葉で伝えるのは難しい。ぜひ実物を見に来ていただきたい。

悪城の壁を過ぎると遠くに称名滝が見え始める
マナブ:あ、滝が見えてきましたよ。
歴史先生:おぉ、今日は何本も落 ちてる。少なくとも4本の滝が落ちているのが見えますね。雪解けの時期にしか見られない景色です。
マナブ:でもちょっと霞んでいて、あれはかなり遠くですよね?
歴史先生:これだけ遠くからあの大きさで見えるということは、かなり期待できるでしょ?
滝が大きすぎて遠近感が狂う? 滝までの遊歩道

称名滝バス停と休憩所

マナブ:さて、称名滝のバス停(地図 ❸)で下りました。ここから遊歩道を歩きます。
歴史先生:あまり知られていま せんが、休憩所(写真中央の白い2階建ての建物)の2階にミニ博物館のようなものがあり、映像やパネルなどの展示がされています。ここに戻ってきたときに、バスの時間待ちで利用されるとよいでしょう。

称名平休憩所2階にあるミニ博物館

称名滝駐車場のトイレを利用しよう
歴史先生:これから称名滝まで歩きますが、滝近くのトイレはこの時期(6月上旬)はまだ閉鎖されているので、トイレはここの駐車場のを使ってください。
マナブ:ここの駐車場は一般のマイカーも来れるんですね。
歴史先生:はい、立山黒部アルペンルートの中で唯一、称名滝だけはマイカーでのアクセスが可能です。

バス停付近の案内図
歴史先生:さて、ここから遊歩道(写真の黄色い線)を歩いていきます。実は・・・この遊歩道が開通したのは今年は5月29日、でした。
マナブ:えっ? つい先週?
歴史先生:例年、ゴールデンウイークから開通しているんですが、今年は積雪量が多く、約1か月ほどずれ込んだそうです。この時期に称名滝へ行かれる方は立山黒部アルペンルートの公式サイトをチェックしてくださいね。
立山黒部アルペンルートの公式サイト
マナブ:うわー、危なかった。

展望園地の入口
歴史先生:さて、遊歩道に入る手前に、右側に「展望園地」がありますので、まずは寄っていきましょう。
マナブ:もうここの入口からも巨大な滝が見えています。もうこれだけで十分感動、です。

展望園地は遊歩道から歩いて30秒とかからない
マナブ:新緑がきれい。素敵な場所ですね。

展望園地から見る称名滝

この日は大小合わせて5本の滝が見えている
歴史先生:どうですか、この眺め?
マナブ:「・・・・・・・」(言葉にならない)
歴史先生:「・・・・・・・」(しばらく私も黙っておこう)
マナブ:ふぅー。行ったことはないですが、もし天国に行ったら、こんな感じじゃないかと、思いました。
歴史先生:ほんと、そんな感じですね。幸せを感じてしまいます。
マナブ:ファンタジー映画のCGを見てるみたい。ほんと、来てよかった。さっきは4本に見えましたが、よくみると5本?
歴史先生:そのようですね。中央のまっすぐ落ちている滝。あれがハンノキ滝です。称名滝はその左側に少し陰に隠れるようになっていますが。
マナブ:たくさん水しぶきが上がっているのがここからも見えて、滝の水量がすごいことが伺えます。

展望園地の入口にある「レストハウス称名」で食事もできる(営業時間10:00~15:00)

称名川沿いの遊歩道を進む
マナブ:では、いよいよ遊歩道です。この道はとても整備されていて、車でも入れるくらいの広さで舗装されていますね。
歴史先生:ここは普通の靴や服装でもまったく大丈夫です。ところでマナブさん、弥陀ヶ原を作った噴火は約10万年前でしたが、称名滝が形成されたのは約7万年前と推定されています。では問題です。7万年前、称名滝はどこにあったでしょう?
マナブ:えーっと、滝は岩をどんどん削っていくから、今より下流の方ですよね。たとえば、バス停のあたりとか?
歴史先生:いえ。実は立山駅あたりにあったんです。弥陀ヶ原、美女平と流れてきた水があのあたりで落ちていたんですね。
マナブ:えー! ずいぶん向こうの方ですよね。
歴史先生:今の滝から7㎞も下流です。そこから年間10㎝削って、どんどんその位置が奥に下がってきています。もちろん今現在もそれが続いているわけですね。
マナブ:そうか。すごい水量だから年間10㎝くらいは簡単に削れそう。でも7万年もするとこんな谷になるんですね。ということはあと何万年かすると、室堂に近いところに滝が移動してるかも?
歴史先生:はい、そう考えられます。

谷の肌は削られたようになっている
マナブ:今日、私たちがバスで来て 、そして今歩いている500mの大峡谷は、滝が後退した跡だったんだ。
歴史先生:はい。さらにここは豪雪地帯。雪の重みで削られたような地形が見られます。
マナブ:あ、なるほど。今もまだ雪が残っていますが、たしかに雪が削ったような地形をしています。

遊歩道をさらに進む。道を歩いている人と背景の滝の大きさの差に注目。
マナブ:遊歩道をどんどん進んでいきます。滝がどんどん大きくなっています。こうして写真に撮っても、道を歩く人との大きさのバランスがなんだか目の錯覚みたいで、変ですよね?
歴史先生:そうですね。それだけ常識で考えづらい、とてつもない大きさなん だということがわかります。

遊歩道の途中には休憩場所もある

大日岳 登山道入り口
歴史先生:さて、左にあるのが大日岳への登山道の入口です。ここから険しい上りが続く道です。
マナブ:ここは気軽には行けそうにありませんね。
歴史先生:はい、ここはちゃんとした登山装備が必要です。

飛龍橋
歴史先生:右側に飛龍橋が見えてきました。
マナブ:渡れるんですか?
歴史先生:はい、渡れます。渡った向こうは八郎坂という道があり、500m上の弥陀ヶ原の方へ登ることができますが、今日は通行止め、と書いてありました。ここも結構ハードな道なので、気軽にはいけません。

飛龍橋からの眺め
マナブ:飛龍橋に来ました。ハンノキ滝がだいぶ近くなりました。
歴史先生:遠くから見たとき、左側の崖を落ちていた滝がありましたが、ここで称名川に落ち込みます。
マナブ:これだけでもかなりの水量ですね。

左側の滝は飛龍橋のところで称名川に合流する
日本で断トツ。世界レベルの落差500m!:称名滝&ハンノキ滝

称名橋までもうすぐ

歴史先生:さて、滝のすぐ前にある称名橋を渡ります。
マナブ:目の前が霧のように霞んで、ミストを浴びているような状態になってきました。カメラは拭いても拭いても水滴が付きます。地面には水たまりができています。

称名橋
マナブ:さぁ、いよいよ称名橋です。

称名橋から見る称名滝とハンノキ滝
マナブ:「・・・・・・」(無言になる)
歴史先生:すごいですね。
マナブ:すごい。感動的です。下のほうは雪が残っていて、その雪に穴を開けて水は下を流れてるんですね。
歴史先生:すごい水しぶき、爆音。そし てすごい風圧を感じます。
マナブ:今までに見た滝とは桁違いの迫力。いやー、びしょびしょです。ナイアガラ滝に近づく船ではみんなレインコートを着ますが、ここでもレインコートがあってもいいかも。それにしてもものすごい水量ですね。
歴史先生:今のような雪解け時には25mプール一杯の水がわずか4秒で落ちる、それくらいの水量だそうです。

称名橋の先は石段になっていて、滝見台園地、になっている
マナブ:橋を渡ると石段です。それほど危なくないし、1分もかからず登れるので、普通の靴でも大丈夫ですね。

滝見台園地から称名橋を見下ろす

滝見台園地から見る称名滝とハンノキ滝。奥の方に見える人の大きさと滝を比べてほしい。

マナブ:滝見台園地(地図 ❹)に来ました。おー、ここからだと称名滝の上の方もよく見えます。称名滝、ハンノキ滝のV字がきれいです。まだ滝からは少し距離がありますが、これ以上は近づけません。さっきの橋の上ほどではないですが、ここでもミストと風がすごいです。
歴史先生:称名滝は4段になっています。上から40m、58m、96m、126m、とだんだん下に行くにつれて落差が大きくなっています。
マナブ:称名滝って、他の滝と比べて大きさはどんな感じなんでしょう?

歴史先生:ここに日本と世界 の主要な滝との比較を出してみました。日本で有名な滝と言えば華厳の滝、那智の滝、袋田の滝、あたりですが、いずれも100m級。称名滝・ハンノキ滝とは比べ物になりません。那智の滝はすごいってよく聞きますが、称名滝の一番下の段とほぼ同じくらいですね。
マナブ:ほぉー、こんなに違いますか。
歴史先生:ということで、今度は世界の滝と比べてみましょう。ヨーロッパ最大の滝と言われるのが、スイスアルプスの氷河が削ったU字谷から落ちるシュタウプバッハの滝。
マナブ:あ、そこ行ったことがあります。あれはものすごい景色でした。

シュタウプバッハの滝(スイス)
歴史先生: あれが300m。
マナブ:へぇー。あれより称名滝はすごいんだ。
歴史先生:北米のヨセミテ滝は739mと、こちらはまたとてつもなく大きい。
マナブ:これは有名ですね。さすがに大きい。
歴史先生:世界3大瀑布といえばナイアガラ、ビクトリア、イグアスと言われますが、それらは幅の広さと水量がすごいのですが、高さは50m~100m程度で、実は大したことがありません。
マナブ:あ、そうなんだ。ちょっと意外でした。
歴史先生:そして世界一の高さの滝と言えば、ベネズエラのギアナ高地にある1,000m級のテーブルマウンテンから直接落ちて来るエンジェル滝。
マナブ:これはちょっと規格外、ですね。
歴史先生:そうですね。でも見てください、称名滝とハンノキ滝。世界レベルとして十分に誇れる大瀑布じゃないですか?
マナブ:こうしてみると、本当にそうですね。本来なら日本を代表する観光地であってもおかしくない。なのに、称名滝について周囲の人に聞いてもその知名度の低さに驚きます。
歴史先生:そのとおりですよね。もっともっと、たくさんの人が来てもいい場所だと思います。

滝見台園地にある称名滝のプ レート
歴史先生:称名滝、どうでしたか?
マナブ:いやー、ずっと前から一度来てみたかったんです。今日はほんとにうれしい。想像していた以上に大きいんで、大感激でした。間近で見て、その風やミストを浴びて、滝のスケールを肌で感じられたことがとてもよかった。一生の思い出です。

