下関で日本の歴史は二度、大きく動いた
まずはタワーから下関の街を見てみよう
関門海峡に沿って文化財の宝庫、唐戸へ歩く
下関の海鮮を楽しめる「カモンワーフ」と「唐戸市場」
下関で日本の歴史は二度、大きく動いた

下関駅ではたくさんのふぐ提灯が迎えてくれる

マナブ:今日は山口県の下関市に来ています。
歴史先生:下関と言えば、2度にわたって日本の歴史が大きく動いた場所ですよね。
マナブ:その答え、わかりますよ。まずは源平合戦の最後、壇ノ浦の戦い。平家の世の中が終わって、源氏による武家社会が始まるきっかけになりました。
歴史先生:そのとおり。で、二度目は?
マナブ:巌流島の決闘で宮本武蔵が佐々木小次郎を破ったことで、剣豪として名をはせた。
歴史先生:うっ、そう来ましたか。
マナブ:冗談ですよ(笑)。知ってます、下関で長州藩が決起して、明治維新はここから始まった。
歴史先生:(笑)わかってるじゃないですか、そのとおりです。
マナブ:さて、今回はどこを回りますか?
歴史先生:まずは下関。とてもコンパクトな町ですので、基本、徒歩で回ります。対岸の門司港、そして少し足を延ばしてバスで長府にも行きましょう。
マナブ:歴史がたくさん詰まっていそうで、とても楽しみです。


下関駅前
マナブ:今私たちは下関駅前にいるんですが、12月ということもあって、クリスマスの飾りがすごいです。駅前の教会風の建物、そして遠くに見えるタワーがなんだか外国のようなモダンな景色を作っています。

夜の下関はまるで外国にいるような風景に出会う
歴史先生:さて、今回は遅い時間に着きましたので、街歩きは明日の朝から。今晩は「ふく」(下関では「ふぐ」ではなく「福」に通じる「ふく」と呼ぶ)をはじめとするおいしい下関のお魚で一杯、なんてどうです?
マナブ:いいですね! 行きましょう!

下関と言えばやっぱり「ふく」は欠かせない
まずはタワーから下関の街を見てみよう

大歳神社

マナブ:おはようございます。今日は朝から下関を歩きます。
歴史先生:私たちが泊まった駅前のビジネスホテルからすぐ近くの、大歳神社へまずは行きましょう。
大歳神社(地図 ❶)
〒750-0025 山口県下関市竹崎町1丁目13−10
境内自由
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
マナブ:駅の近くなんですが、結構な石段です。
歴史先生:下関は海の近くまで山が迫っていて、平地がとても少ない。よって丘の上にも建物がたくさん建っています。
マナブ:そういう立体的な都市、大好きですよ。やっぱり町には坂道がないと。
歴史先生:たしかブラタモリの中でも、タモリさんがそう言っていましたね。

大歳神社の石段
マナブ:ところで大歳神社というのはどういう神社なんでしょう?
歴史先生:1185年、時は平安時代末の源平合戦の最終局面。平家方は彦島に兵を集結させていました。対する源氏方は彦島の見えるこの丘に登り、大将である源義経が武家の守護神、富士浅間神社の神様をここに勧請しました。そこで二日二晩斎戒沐浴して戦勝祈願をしたそうです。
マナブ:それがこの丘。
歴史先生:はい。その結果はご承知の通り、源氏の勝利。その翌年、地元の漁師たちが義経の祈願に畏敬してここに祠を建てて祀ったのが大歳神社の起こりとされています。
マナブ:ということは、ここは武運長久の御利益がありそう。
歴史先生:まさにそのとおりです。明治維新の際には高杉晋作が奇兵隊を創設しましたが、その旗揚げの軍旗はここ大歳神社に奉納されました。また、長州の志士たちを支えた豪商として有名な白石正一郎は4か国連合艦隊との下関戦争にあたって、攘夷成就を願って大鳥居を寄進しました。今、石段の下にある鳥居がその時のものです。

大歳神社
マナブ:なるほど。源平合戦と明治維新という、下関の2大イベントの両方に関わって、その歴史を見てきた神社ということが言えそうですね。
歴史先生:はい。まずは今日のスタート地点としてここがいいかなと思って選びました。
マナブ:次はどこへ行きます?
歴史先生:これから歩くにあたって、下関と関門海峡の全体を見渡していただきたいので、タワーに登って上から見てみましょう。
マナブ:いいですね!

海峡ゆめタワー

海峡ゆめタワー(地図 ❷)
〒750-0018 山口県下関市豊前田町3丁目3−1
入場料 一般600円(シニア、高校生以下割引あり)
9:30~21:30(最終入場21:00)、無休
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
マナブ:さぁ、高速のエレベーターでタワーの展望室へ上がってきました。
歴史先生:ここは1996年にできたタワーで、高さは143m。他に高いビルのない下関では視界を遮るものがなく、360度すべてを見渡せます。

北側の眺め
歴史先生:まずは北側から見ましょうか。左の下の方にさっき登った大歳神社があるの、わかりますか?
マナブ:あ、見えました。かなり高くまで登ったように思いましたが、あんなに下の方なんですね。
歴史先生:丘の上までたくさんの坂道が続いて、建物がぎっしりと建っています。

西側の眺め
歴史先生:ここから下関駅が良く見えます。歩行者用のデッキが発達していて、歩きやすい町になっていますね。奥の水路のように見えるところは小瀬戸と呼ばれていて、本土と彦島を隔てている海です。
マナブ:あ、川のように見えるところですね。
歴史先生:そしてその向こうには島影の美しい、青々とした響灘が続いています。

西南側の眺め
歴史先生:西南側を見てみましょう。まず手前にあるのが国際フェリーターミナル。今も大きな船が泊まっていますが、ここから毎日韓国の釜山への定 期便が出ています(関釜フェリー)。また週2便、中国の蘇州へ行く「蘇州下関フェリー」もあります。
マナブ:そうか、地図で見るとここは韓国にとても近い。
歴史先生:そうなんです。その向こうに見えるのが小瀬戸と彦島。さらに向こうには高い煙突からもくもくと煙が出ていて、あそこは小倉になります。
マナブ:複雑な海岸線だということがよくわかります。

南側の眺め
歴史先生:南側は関門海峡。そしてその中に浮かんでいるのが有名な巌流島、です。
マナブ:おー、よく見えています。
歴史先生:対岸には門司の町も見えています。門司港と門司は混同されやすいですが、それぞれ離れた町です。

東側の眺め
歴史先生:そしてこのタワーの一番の眺めが東側でしょう。
マナブ:関門橋だ。
歴史先生:はい。海峡が一番狭くなっているところが壇ノ浦。そしてそこに関門橋がかかっていて、海の底には関門トンネルが走っています。
マナブ:なるほど。
歴史先生:中央に見える大きな屋根が水族館。そしてその向こう側の入り江は唐戸の港です。そしてその対岸が門司港。今日はこちらの方面に歩いていきますので、この景色、よく覚えておいてください。
関門海峡に沿って文化財の宝庫、唐戸へ歩く

山口銀行旧本店

山口銀行旧本店(地図 ❸)
〒750-0012 山口県下関市観音崎町10−6
入場無料
10:00~17:00(最終入場16:30)、月・火休、祝日休み
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
https://www.yamaguchibank.co.jp/portal/special/museum/old-office/
マナブ:気持ちのいい大通りを唐戸方面に向かって歩いています。
歴史先生:ちょっとだけ寄り道していきましょう。山口銀行の旧本店が、昔のままの姿で残っています。

山口銀行旧本店の内部
歴史先生:ここは1920年(大正9年)に建てられたもの。当初は三井銀行下関支店でした。花崗岩で覆われた外観はギリシャの古典的な様式を踏襲しています。
マナブ:内部はすっきりとしていますね。
歴史先生:漆喰塗の真っ白な天井と壁がそういう印象を与えるのでしょう。大正時代の洋館建築がこれほどきれいに保存されているのは貴重です。

「はい!からっと横丁」の脇の道を海の方へ曲がる
マナブ:大きな観覧車のある遊園地がありますね。
歴史先生:「はい!からっと横丁」といいます。ここを曲がって脇の道を海の方へ行きましょう。


関門海峡に面した散歩道
マナブ:あぁ、素晴らしい眺め。海風が気持ちいい。
歴史先生:ここからは海沿いを歩きます。唐戸はもうすぐ。関門橋が良く見えますよね。

海響館

海響館(地図 ❹)
〒750-0036 山口県下関市あるかぽーと6−1
入場料 2,090円(中学生以下、団体割引あり)
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
マナブ:大きな水族館がありますね。
歴史先生:2001年にオープンした下関市立の水族館です。珍しいイルカとアシカの共演ショーなどが売り、です。

あるかぽーと 灯台
歴史先生:ここが唐戸の港。あるかぽーと、という名称が付いています。
マナブ:灯台まで歩いて行けるんですね。
歴史先生:ベンチもあって、とてもいい公園になっています。

下関南部町郵便局(左)と旧秋田商会ビル(右)
歴史先生:さて、唐戸の交差点に来ました。下関の中心といえばここ、です。ということもあって、ここは文化財の宝庫。
マナブ:古い建物がありますね。
歴史先生:左側は「下関南部町郵便局」。なんと1900年(明治33年)に建てられたもので、現役で使われている郵便局としては国内で最古のもの。
マナブ:100年以上、現役で使われているなんて、いいですね。
歴史先生:そして右側は「旧秋田商会ビル」。

下関南部町郵便局(左)と旧秋田商会ビル(右)

旧秋田商会ビル(地図 ❺)
〒750-0006 山口県下関市南部町23−11
入場無料
10:30~16:00、火・水曜休
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
https://www.japanheritage-kannmon.jp/bunkazai/index.cfm?id=29
歴史先生:秋田商会は秋田寅之介という人が創業し、日清・日露戦争で財を成した総合商社です。このビルは1915年(大正4年)に建てられたもので、1階は事務所、2・3階は住宅となっています。住宅部分は和風になっていて、何と屋上には庭園と茶室があります。
マナブ:あ、ほんとだ。屋上に植物と和風の建物が見えてます。
歴史先生:日本における鉄筋コンクリート建築の中でもほぼ最初の頃の作品と言う意味でも、貴重な文化財です。

旧下関英国領事館
旧下関英国領事館(地図 ❻)
〒750-0005 山口県下関市唐戸町4−11
入場無料
9:00~17:00、火曜休
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
https://www.kyu-eikoku-ryoujikan.com/
歴史先生:そして交差点の反対側にあるのが、旧下関英国領事館。国指定重要文化財です。
マナブ:こちらも雰囲気ありますね。

旧下関英国領事館の入口

旧下関英国領事館の内部
歴史先 生:1901年(明治34年)に、当時の駐日英国大使アーネスト・サトウの提案によって下関に領事館が置かれました。
マナブ:その名前、聞いたことがあります。
歴史先生:今の建物は1906年(明治39年)に建てられたもの。太平洋戦争直前の1941年(昭和16年)まで使われました。現存する領事館の建物としては国内最古のものです。今ではカフェやパブ、貸しギャラリーなどとして使われています。
下関の海鮮を楽しめる「カモンワーフ」と「唐戸市場」

カモンワーフ

カモンワーフ(地図 ❼)
〒750-0005 山口県下関市唐戸町6−1
入場無料
営業日・営業時間は店舗による異なる
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)
マナブ:唐戸の海沿いにあるカモンワーフにやってきました。楽しそうな場所ですね。たくさんの人でにぎわっています。
歴史先生:ここは魚市場などが共同で経営している施設。お土産屋さんもたくさんありますが、飲食店の充実が素晴らしい。それぞれのお店がフク料理や海鮮丼などのメニューを競っています。

関門海峡を行き交う船を見ながらの食事は格別

ここでは海鮮丼を食べたい
マナブ:私たちは海を見ながら海鮮丼をいただくことにしました。おいしさは言うまでもありません。それにしても立地が素晴らしい。
歴史先生:関門海峡は今でも重要な交通ルート。たくさんの大型船がひっきりなしに行き来するのが見えます。

唐戸市場
歴史先生:お楽しみはカモンワーフだけではありません。その隣にあるのが「唐戸市場」。
唐戸市場(地図 ❽)
〒750-0005 山口県下関市唐戸町5−50
入場無料
5:00~15:00(月~土)、8:00~15:00(日祝)、水曜日が休みになることが多い、詳しくはWebサイトの営業日カレンダーを参照ください。
(※最新の情報はWebサイト等でご確認ください。)

唐戸市場の内部
マナブ:中は広いですね。数えきれないほどのお店があります。
歴史先生:海産物の直売はもちろん、海鮮丼のお店もたくさん。
マナブ:今日は土曜日。さすがにすごい人で混み合っています。活気のある市場ですね。

唐戸市場でテイクアウトしたものを外で食べる
歴史先生:市場の中にはあまり席がないので、みなさんテイクアウトして外で食べています。
マナブ:関門橋を見ながらの海鮮ランチ。潮の香りも気分を盛り上げます。下関らしくていいですね。
(下関その2に続く)

